はじめに以前の研修状況についてですが、複数のシステムをお使いだったそうですね。
営業本部では主に2つのシステムを使っていました。ですが、一つはコンテンツをただ見るだけで学習履歴がまったく取れず、もう一つはテストに使用していましたがシステム的にとても欠陥が多いものでした。
テストというのはMRの継続認定に関わるものですか?
いえ、日々の研鑽に関わる社内ドリルです。MR全員に定期的に配信していました。ところが、動画は載せられない、テスト結果をダウンロードするとセッションタイムアウトで落とせない、落ちても時間が異常にかかる、データは文字化けしているという状況でした。
集計機能に大きな問題があったんですね。
社内にはほかにもシステムがありますが、MRの自己学習のためのツールとしては十分とは思えず、営業本部としてもっといいシステムはないかと探しているときに出会ったのがKnowledgeDeliver(以下、KD)でした。
導入の決め手となったのは何でしたか?
動画コンテンツが簡単に組めること、それと管理機能と分析機能が充実していることですね。
管理機能を重視されたのはなぜですか?

ご存知の通り、MRは継続認定のための必須研修が年に何時間と定められています。この研修をeラーニング化することを考えたとき、学習履歴(研修時間のデータ)が取れないと実施不可能なのです。
KDなら学習履歴やテスト集計結果が一瞬でダウンロードできますから、これまで大変だった、上司に対する受験者の結果フィードバックも迅速にできるようになりました。
導入されてちょうど1年ほどになりますが、営業本部ではシステムをKDに一本化してご活用いただいていると聞いています。一番大きく変わった点は何でしょうか。
まず、これまで紙ベースで実施していたMRに対する社内統一試験を100%ペーパーレス化できました。これまでは試験問題の校正や印刷、それから集計や分析を外注していたこともあり、多大な費用と時間がかかっていましたが、ペーパーレス化と完全内製化により、大幅な時間とコスト削減につながりました。
千人規模が一斉にアクセスされる試験のペーパーレス化はどのように実現されたのでしょうか。
御社の営業の方に無理をいって販売形態を開発してもらいました。要はWebサーバーのキャパシティの問題で、通常の使用状況ならWebサーバーは一個で十分なのですが、社内統一試験のために十分な容量のサーバーを常時維持しようとすると5倍のコストがかかります。そこで、テスト月だけ一時的に増設するという仕組みを構築していただきました。
つぎに、MRの認定継続に関わる必須研修についてはいかがですか?
以前は多くが集合研修でしたが、20%程度をeラーニング化しました。これはMR側にも強いニーズがあります。集合研修だと拘束時間が増えますからMRの営業時間が減ってしまい、業務に支障が出るからです。ですからなるべくオンデマンド化していこうという流れがあります。
そう考えるとすべてを集合研修でカバーしていたときは大変だったのではないですか?
以前は各支店で集合研修をしていましたからね。このeラーニングがなければ今のような研修体制はできなかったでしょうね。ほかにも、集合研修での事前・事後テストなどもKDでやるようになりました。
導入時には想定されていなかった部分で意外にeラーニングが使えた、というようなことはありましたか。
一番意外だったのは新人導入研修ですね。ずっと集合研修の座学でしたが、2018年度からこのeラーニングを導入しました。今の新入社員って、子供の頃からスマホが身近にあって就職活動もスマホメインでやってきたような世代で、我々とは文化が違うのですね。つまり、こちらはeラーニング導入に衝撃がありましたが向こうはまったくない。むしろ、大学の授業もオンライン化されていて、就職活動もスマホでやってきて、なんで会社入ったら急に座学なんですかという感じだったようで、eラーニングに大変とっつきがいい。これが当たり前だよねという雰囲気なんです。
なるほど。
MRといっても理系出身者と文系出身者が混在していて、理系の中でも薬学系とそれ以外の人がいます。医学論文なんて見たこともないという人、統計解析なんて言葉も聞いたことないという人から、大学の授業でやっていましたという人まで、かなり差があるのです。そんな新入社員に対し、これまでは集合研修で一律に講義をしていましたから、理解度が偏るのは当然といえば当然でした。eラーニング化によりいつでも必要なコンテンツを見られるようにしたことで、かなり標準化されました。受講者の満足度が全然違いますし、とても大きな出来事でした。
導入時には1,000~2,000名規模を想定されていましたが、現在のご利用状況は?
営業本部の2,500名くらいが利用していますが、今後増えていく可能性が高いです。というのも、このシステムを見た他部署の方から「すごくいいのでうちも載せてほしい」との依頼を受けていまして、今後全社員規模になっていく可能性があります。
どういったところが評価されているのでしょうか。
操作性が良い、見やすく使いやすい、コンテンツが乗せやすい、というところでしょうか。すでに我々が作成したコンテンツも200を超えていますし、こちらでオペレーションを教える事も出来ますから、導入について不安がないというのもあるのかもしれません。
課題やご要望にあわせた柔軟なカスタマイズもKDの強みですが、なにかカスタマイズされましたか?
各支店の研修を扱う部署に分析や教材作成の権限を付与し、本社だけでなく支店独自のコンテンツ作成ができるようにしました。KDのいいところはロール(役割)の設定が非常に細かくできる点です。とてもいいですね。あれがないと本社で全部やらないといけなくなりますから。
支店に権限を委譲するとどんなメリットがありますか。
各支店の状況にマッチした研修が可能になります。一方、困るのは、本社で作成する試験コンテンツなどが今までのセキュリティだと事前に漏れてしまう可能性がある事でした。この事を解決するために、本社の管理者以外では、他組織の人が作ったコンテンツは配信も閲覧もできないようにしてもらいました。これによって、コンテンツ作成権限を完全に委譲しても問題なく、支店独自の教育を組んでもらえますし、逆に良いものは本社で把握することもできます。別の機会に支店からコンテンツを募集したことがありますが、良くできているものが多いです。現場のMRのレベルに合わせたコンテンツを作ることも可能です。
新機能も実装されましたね。
コンテンツの数が増えるにつれて、自分が見たいクラスを探すのも大変になってしまったので、教材をカテゴリ分けし、表示するコンテンツを絞れるようにしました。弊社ではMRの専門が分かれており、必要とする知識が異なります。もちろん共通して必要なものもあります。それらを絞り込みしやすくなり、操作性がさらに上がりました。
受講者のモチベーションアップにもつながりそうです。
ログインしたときにコンテンツがあふれているとやる気がなくなりますよね。なるべく画面をすっきりさせるということ、コンテンツ自体は多いけど入り口はシンプルに、ということは考えています。
MRの教育研修において、直近の課題としてはどのようなものがありますか?
コンテンツ自体の質を高めていかないと、どんなにシステムがよくてもダメですね。それでいうと、コンテンツごとのリアルタイムの評価というのがKDはちょっと見えにくいと思っています。アクセス数はわかりますよ。でも実際どんな感想を持ったかはわからないでしょう。たとえば、「いいねボタン」のようなコンテンツ評価ボタンを作ってもらって単純な集計くらいはできるようにしてもらえると、今後幅が広がるかなというのが私からの要望です。
それこそ今の若い世代にも受けがよさそうですね。
フリーワードでパッと感想が送れるようなボタンもあれば、いちいちアンケートを取らなくてもリアルタイムで集計ができますね。そうすると、もっともっと管理者側(コンテンツ作成側)と受講者側が近付くのではないでしょうか。コンテンツを作り発信はしたけど、実際のところどうだったのか、というのは非常に気になるところですから。
ありがとうございます。もうひとつお聞きしたかったのが、eラーニング導入を成功させるためのポイントです。
「どれだけこのシステムに触れてもらう機会を増やせるか」、これが一番です。研修も試験もアンケートも、使える場面では極力使っていくというふうにしないと浸透しないでしょうね。そういう意味では、いろいろなシーンで使えるシステムであることが重要です。
中外製薬様として人財育成で大切にされていることをお聞かせください。
自立が営業本部で示されているキーワードです。受け身ではなく、自ら情報を取りに行く。そういう意味ではeラーニングは弊社方針に向いていると思います。
eラーニングの管理者権限を支店にというのも、その流れにマッチしていますね。
そうですね。そこは私も強く希望して入れてもらった部分です。
最後に、今後の展望をお聞かせください。現在ご興味をお持ちの教育に関するテーマなどがあればあわせてお願いします。
スキル系のコンテンツですね。今は知識系のコンテンツがほとんどですが、コミュニケーションやプレゼンテーションなどスキル系のコンテンツも充実させていく必要があります。双方向ができれば尚いいですね。
それから、モバイルによる視聴に切り替えていくことです。そこで問題になるのがセキュリティの問題。社内でしか見られないコンテンツと外でも見られるコンテンツのセキュリティを分けるといった対策は今後必要になってくるかと思います。

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お客様情報
名称 |
中外製薬株式会社(CHUGAI PHARMACEUTICAL CO., LTD.) |
創業 |
1925(大正14)年3月10日 |
設立 |
1943(昭和18)年3月8日 |
本社 |
東京都中央区日本橋室町2-1-1 |