大学教育において、オンライン授業やハイブリッド型授業のニーズが高まる中、「LMS(学習管理システム)」の活用が注目されています。
本記事では、LMSとは何か、大学におけるLMSの導入・シェア状況や、実際の活用事例を詳しくご紹介します。
LMSの比較検討や効果的な活用方法のヒントとして、ぜひご活用ください。
LMS(Learning Management System)とは、eラーニングを支える中核的なシステムで、日本語では「学習管理システム」と訳されます。
LMSは、大きく分けて2つの機能から構成されています。ひとつは、学習者が講義資料や動画を閲覧し、テストやレポートを通じて学習を進めるための「受講機能」、もうひとつは、教員や管理者が学習履歴や成績を管理する「管理機能」です。学習者はWeb上で教材にアクセスし、自分のペースで学習を進められる一方、教員や管理者は進捗状況の可視化、成績評価、教材の一斉配信などを効率的に行えます。
大学では、授業のオンライン化や学修成果の蓄積、対面とオンラインを組み合わせたハイブリッド型授業の推進など、多様な教育シーンでLMSが活用されています。
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大学ICT推進機協議会(AXIES) ICT利活用調査部会の調査によれば、大学事務局(4年制大学)の69.2%が何らかの形でLMSを導入しています。
導入状況を機関種別に見てみると、全学、部局、教員のいずれかでLMSを利用している割合は、高等専門学校で91.5%、学部研究科では72.9%、短期大学では47.6%です。
【機関種別】LMSの利用・運用状況
| 全学で運用されている LMSを利用している |
部局で運用されている LMSを利用している |
個人教員が運用している LMSを利用している |
利用していない | |
|---|---|---|---|---|
| 高等専門学校 | 70.2% | 19.1% | 17.0% | 8.5% |
| 学部研究科 | 65.3% | 8.9% | 5.3% | 27.1% |
| 短期大学 | 38.9% | 3.8% | 7.0% | 52.4% |
【設置者別】LMSの利用・運用状況
| 全学で運用されている LMSを利用している |
部局で運用されている LMSを利用している |
個人教員が運用している LMSを利用している |
利用していない | |
|---|---|---|---|---|
| 国立大学 | 88.5% | 4.9% | 1.6% | 8.2% |
| 公立大学 | 39.1% | 6.5% | 6.5% | 52.2% |
| 私立大学 | 65.1% | 3.2% | 2.4% | 31.9% |
上記からわかる通り、高等専門学校、他の機関よりもLMSの導入が進んでいます。部局や個人教員による運用の割合が高い点も特徴です。
また、設置者別に導入状況を見てみると、全学、部局、教員のいずれかでLMSを利用している割合は、国立大学で91.8%、公立大学で47.8%、私立大学で68.1%となっています。
参考
高等教育機関におけるICTの利活用に関する調査研究 結果報告書|大学ICT推進機協議会(AXIES) ICT利活用調査部会
LMSは大学において、単なる教材配信のツールにとどまらず、学習体験の質を高めるために多様な活用がなされています。以下では、デジタル・ナレッジのLMS「KnowledgeDeliver」の導入事例を基に、具体的な活用方法とその成果を紹介します。
K大学では、通学課程の学生を対象とした学内オンデマンド配信システムの配信プラットフォームとしてLMS「KnowledgeDeliver」を導入しました。導入の決め手の一つは、学習データ分析に必要なログを取得できる機能でした。
視聴ログや操作ログを分析することで、「成績上位の学生は動画公開後1週間程度で視聴する傾向がある」「視聴のピークは23時台」など、これまで把握が難しかった学生のリアルな学習行動が明らかになりました。さらに、ユーザーの7割以上が1.5倍速で視聴しているという分析結果も得られました。学生がどのスライドで一時停止や巻き戻しをしているかといった操作情報も収集されており、教員の資料改善やコンテンツ設計にも活用されています。
このように、学習行動の可視化と分析を通じて、動画の視聴期限ルールを新たに設定するなど、成績向上に向けた施策が実現。学生の78.7%が「今後も本オンデマンドシステムを受講したい」と回答するなど、高い満足度と教育効果が実証されています。
T大学薬学部では、薬剤師や製薬企業従事者を対象としたリカレント教育のポータルサイトとしてLMSを導入しました。以前のシステムでは、受講申込、決済、証明書発行などが統一されておらず、事務作業が煩雑化していました。
LMSの導入により、対面・オンライン・オンデマンド全ての講座で、申し込みから決済、受講、証明書発行までを一つのシステムで完結することを実現しています。また、受講料の区分設定や領収書の自動発行といったカスタマイズを行うことで、管理者側の業務負担軽減と受講者の利便性向上を両立させています。さらに、オンデマンド講座の開講や大学院進学時の単位認定制度など、学び直しを支援する仕組みも充実し、今後さらなる受講者増加が期待されています。
K大学では、心理学を専門とする通信教育課程ポータルの開設にあたり、オンライン学習環境の基盤としてLMS「KnowledgeDeliver」を導入しました 。
LMSの活用により、授業、レポート提出、試験までオンラインで完結できる学習環境を整備。通学不要で卒業可能な点が全国の学生から支持され、開設から10年で学生数は約150名から約1,500名へと10倍に増加しました。また、試験時には登録写真とPCカメラで撮影した顔写真を照合する本人認証機能も活用し、学位授与の信頼性を担保しています。
近年では、公認心理師資格の取得を目指す正科生が急増し、在籍者の87%を占めるまでに成長。加えて、スマートフォンやタブレットにも対応した視聴環境が整備されており、働きながら学ぶ社会人が通勤や昼休みなどのすきま時間を活用して学習を進めるスタイルも定着しています。
S大学の通信教育部では、これまで全国の会場で行っていた単位認定試験をオンライン化するため、LMSを導入しました。導入にあたっては、「学生が約600科目の中から受けたい科目を自由に選択できる」「約1,000人規模の学生が決められた日時に一斉受験できる」という従来の仕組みをオンライン上で再現することが必須条件でした。
同大学では、以前から試験のオンライン化を構想していたものの、教育の質と本人認証の課題により、長らく対面試験が前提とされてきました。しかしコロナ禍を契機に、郵送対応によるリスクや業務負担が顕在化。学生の利便性と学修機会の拡大を目的に、本格的なオンライン化への移行を決断しました。
これらの要件を満たすシステムとして「KnowledgeDeliver」が採用され、導入からわずか5ヶ月で初のオンライン試験を実施。試験時間制限や本人認証機能により、教育の質を担保しながら、問題用紙の印刷・郵送コストや手間、紛失リスクといった課題を解決しました。
S大学通信教育部では、コロナ禍で中止せざるを得なくなったスクーリングや科目試験の代替として、LMSとZoomを連携させたオンライン授業と、本人認証付きのWeb試験を導入しました。
LMS「KnowledgeDeliver」内にZoomの入り口を設定することで、学生はLMSからシームレスにオンライン授業に参加でき、大学側は出欠や学習履歴を一元管理することが可能となっています。また、授業開始時や試験時に顔認証を導入することで、不正受講を防止し、セキュアなオンライン教育環境を短期間で構築しました。
さらに、従来の郵送・集合型教育からの移行を加速させ、2020年の夏期スクーリングを完全オンラインで実施。本人認証付き試験も同時に展開し、全国および海外から延べ12,500名の学生が安全に受講できる体制を整備しました。CBT形式の試験は時間的・経済的な負担軽減にも寄与し、高い満足度を得ています。
K大学では、医学部での理解度テスト実施をきっかけにLMSを導入。現在では全10学部の学生や教職員向けに活用が広がっています。
特筆すべきは、学習用途だけでなく、教職員向けのナレッジ共有ツールとしても利用されている点です。LMSの「対象者を限定してコンテンツを配信できる」「誰が閲覧したか把握できる」「理解度をテストで確認できる」といった機能を活用し、学内情報の確実な周知徹底に役立てています。
さらに、塾内の共通認証基盤と連携したシングルサインオン環境を構築し、教職員や学生が安全かつスムーズにLMSへアクセスできる体制を整備。加えて、動画配信サービス「Video+」を導入することで、学内のセキュリティポリシーに準拠しながらストリーミング授業や教材共有も可能になり、学内の業務効率化や情報共有の手段としてもLMSが定着しています。
O大学のデータサイエンス教育センターでは、複数の大学や外部企業と連携したデータ関連人材育成プログラムの基幹システムとして、LMSを活用しています。
複数の大学が参加するコンソーシアムにおいて、各大学が開発したコンテンツを共有するための共通プラットフォームとしてLMSを導入。社会人向けのリカレント教育でも活用され、これまで100以上の科目をeラーニング化し、のべ2,000人以上に提供してきました。豊富なeラーニングコンテンツを有料で提供することで、国の補助金に頼らない自立的な運営にも繋がっています。
さらに、文部科学省の支援を受けた人材育成プログラムでは、協定校の学生が共通コンテンツを相互利用しながら単位互換制度を活用できる仕組みを確立。有料会員制の社会人向けプログラムでは、初級から応用までの多彩なeラーニング講座が提供されており、産業界のニーズに応える高度データ人材の育成にも貢献しています。これらの取り組みにより、同センターは全国に先駆けた教育モデルとして注目され続けています。
T大学の通信教育課程では、LMSを活用したブレンディッド(ハイブリッド)ラーニングを導入しています。これは、全15回の授業のうち前半はオンデマンド動画で個々が学習し、後半は対面授業でグループワークなどを行う形式です。
2016年から導入されたこの手法は、教育効果の高さと柔軟な学習スタイルにより、多様な学生ニーズに応える学びの形として定着しています。
この導入により、学生は自分のペースで繰り返し学べるオンラインの利点と、仲間と議論し学びを深める対面の利点の両方を享受できるようになりました。結果として、受講生の92.2%が「満足」と回答するなど非常に高い評価を得ています。また、遠方の学生にとっては、通学が後半だけで済むため、交通費や宿泊費の負担が大幅に軽減されるというメリットも生まれています。
B大学では、生涯学習の新たな拠点として「オープンラーニングセンター」を開設し、その基盤としてLMSを導入しました。目的は、対面授業とオンライン配信を組み合わせた「ハイフレックス型講座」を提供し、受講者層を全国に拡大することでした。
LMS導入により、対面、ライブ配信、オンデマンド、見逃し配信といった多様な受講形態を提供できるようになり、受講者数は以前の対面のみの時代から約1.4倍に増加する見込みです。さらに、半年間約300講座が受け放題となるサブスクリプション(定額会員)制を導入したことで、受講者がこれまで興味のなかった分野の講座にも参加するきっかけを作り、学びの広がりを促進しています。
兵庫県に本部を置くO大学は、大学の知名度向上と全国的な学生募集の強化という課題を抱えていました。
その解決策として、LMSを活用した2つの施策を実施しました。1つは、JMOOC(大規模公開オンライン講座)公認サイト「gacco」で講座を配信し、大学の教育力の高さを全国にアピールしたことです。もう1つは、東京にサテライト校を設置し、スクーリングや説明会を実施したことです。
gaccoでの配信は、わずか1ヶ月足らずで7,000名の受講登録を獲得するなど大きな反響を呼び、これらの施策の結果、大学の認知度が飛躍的に向上し、通信教育課程への出願者数が約2.5倍に急増しました。以前はゼロだった東京からの入学者も、都道府県別で3番目に多くなるなど、学生募集の全国展開に成功しています。
多種多様なLMSの中から、自学に最適なシステムを選ぶためには、いくつかの重要なポイントがあります。
ここでは、大学に合ったLMSを選ぶための3つのポイントを紹介します。
まず、LMSを導入することで何を実現したいのか、具体的な目的を明確にすることが重要です。現状の課題や目指す教育の方向性、必要な機能などを洗い出し、要件をリスト化しておくと、その後の選定がスムーズに進みます。
例えば、以下のような項目を確認しましょう。
LMSは、24時間365日安定して稼働することが求められるシステムです。そのため、これまでの導入実績や稼働実績は、選定の初期段階で必ず確認してください。
他大学での導入事例を参考にすることで、システムの信頼性や評判を確認できます。また、自学が想定する利用者数や運用規模に対応可能かどうかも、実績を基に判断することが重要です。
たとえば、1万人規模の大学や複数キャンパスを持つ学校で問題なく運用されているLMSであれば、自学でも安心して導入しやすくなります。また、文系・理系など学部の特性を問わず活用できているか、既存の教育課程や授業形態との親和性についても事例を通じて見極めることができます。過去の導入時期や運用年数、継続率などもチェックすることで、長期的な信頼性があるかを客観的に判断できるでしょう。
MSは導入して終わりではなく、長期的な運用が前提となります。そのため、ベンダーのサポート体制の充実度は非常に重要な選定ポイントです。
導入時の操作レクチャーや導入後のメンテナンスはもちろん、日々の運用で発生する疑問やトラブルに対応してくれるヘルプデスクの有無などを確認しましょう。また、システムの保守・更新といった手間を考慮すると、外部の専門家による手厚い支援が受けられるかどうかも検討すべき点です。
とくに大学では教職員や学生のITスキルに幅があるため、誰でも直感的に使えるUI設計や、トラブル発生時に即時対応してくれるサポート体制が不可欠です。ベンダーが提供するFAQ、オンラインマニュアル、定期的な研修会の有無、担当者の対応スピードや品質も、導入後の満足度に大きく影響します。また、将来的な機能拡張や法改正への対応力など、継続的な支援があるかどうかも比較材料となるでしょう。
大学ならではの課題解決や運用支援については、
学校ソリューションページもあわせてご覧ください。
デジタル・ナレッジが提供するLMS『KnowledgeDeliver』は、多くの大学に選ばれ続けている統合プラットフォームです。2000年のリリース以来、時代のニーズに合わせて進化を続けており、その背景には確かな理由があります。
まず大きな特徴として、eラーニングに必須となる「教材作成」「学習」「運用管理」という3つの機能を標準で搭載しているため、他のツールを追加導入することなく、これ一つでeラーニング環境を完結させることができます。さらに、大学ごとの多様な課題や教育方針に応じて柔軟なカスタマイズが可能であり、創業以来蓄積されたノウハウを基に最適なシステムの形を提案します。
その信頼性は、大学をはじめ企業や官公庁など3000以上の豊富な導入実績と、数十万名規模の大規模運用にも対応できる安定性によって裏付けられています。ASPやクラウド、オンプレミスなど、大学の状況に合わせた導入形態を選べる点も強みです。
導入後も安心して利用し続けられる点も高く評価されています。お客様のニーズや教育トレンドを反映させるため年4回のバージョンアップが継続的に行われ、システムは常に最新の状態に保たれます。さらに、運用担当者や学習者向けのサポートセンターが電話やメールで支援するほか、ISMSやPマークの取得、定期的な脆弱性診断の実施といった万全のセキュリティ対策により、安全な学習環境を提供します。多言語対応やWeb会議ツールとの連携機能にも標準で対応しており、現代の教育ニーズにも柔軟に応えています。
本記事では、大学におけるLMSの導入状況や活用事例、そして自学に合ったLMSの選び方について解説しました。
LMSは単なるオンライン学習ツールではなく、学生の学習行動の可視化、リカレント教育の推進、教職員の業務効率化など、大学運営における様々な課題を解決する可能性を秘めたプラットフォームです。LMSの導入・活用を成功させるためには、自学の目的を明確にし、機能、実績、サポート体制などを総合的に比較検討することが欠かせません。
デジタル・ナレッジの『KnowledgeDeliver』は、3,000以上の導入実績と長年のノウハウを基に、各大学の多様なニーズに合わせた最適なeラーニング環境の構築を支援します。LMSの導入や活用に関するご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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