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教育ICTとは

「教育ICT」とは、教育現場で活用される情報通信技術そのものや取り組みの総称です。

教育ICTとは

社会の情報化が急速に進むなか、「教育ICT」もまた、急速に導入が進められています。

ICTとは、Information and Communication Technology、つまり“情報通信技術”を意味します。「教育ICT」とは、教育現場で活用される情報通信技術そのものや取り組みの総称です。

言葉にすると堅苦しく感じますが、学校の教室をイメージすればわかりやすいかもしれません。

・教室のプロジェクタに図表を拡大投影する
・パソコン教室でインターネットを使って調べ学習をする
・電子黒板に計算問題を掲示し書き込みながら解き方を説明する
・生徒がタブレットで作った発表資料を一瞬でクラス全員の端末に共有する

など、ひと昔前には考えられなかった教育活動が、ICT活用により可能となってきています。


すでに導入されている教育ICTとは?

教育現場でのICTとは、パソコン、プロジェクタ、電子黒板などのハードウェアから、無線LAN、eラーニング、デジタル教科書、学習用ソフトウェアまで多岐にわたる。すでにICT活用を始めている学校では、「ICTを全学年で導入している」ところが多く、全校的にICT活用を進めている様子がうかがえる。

主に導入しているICT(ハードウェア)
主に導入しているICT(ソフトウェア、インフラ)

<eラーニング戦略研究所が2015年に実施した「小中高におけるICT活用に関する意識調査報告書」より。調査対象:学校にICTを導入している全国の小学校教員、中学校教員、高校教員 計100名>

教育ICT化は国の肝いり

教育ICT化を積極的に推進しているのは文部科学省です。背景には、国全体としてICT活用を推し進めていくという政府の大きな方針があります。

2013年6月に閣議決定された『日本再興戦略』では、「2010年代中に1人1台の情報端末による教育の本格展開を目指す」こと、「デジタル教材の開発や教員の指導力向上に関する取り組みを進める」ことが宣言されています。

同年6月に閣議決定された『第2期教育振興基本計画』では、「教材整備指針に基づく電子黒板・実物投影機の整備、超高速インターネット接続率および無線LAN整備率100%、校務用コンピュータ教員1人1台の整備」や「グループ学習、ICTの積極的な活用をはじめとする指導方法・指導体制の工夫改善」を目指すことが明記されています。

このように文部科学省が音頭をとり、小学校から大学に至るまで、全国の学校でICT導入が進められています。

では、国はなぜここまで早急に教育ICT化を推進するのでしょうか?

なぜ今「教育ICT」なのか?

教育ICTの目的は大きく2つ挙げられます。

1つは、わかりやすい授業の実現です。 子供たちの確かな学力を育成するためには、よりわかりやすい授業を実現することが重要です。 ICTを効果的に使うことで、視覚や聴覚に訴えかける臨場感のある学びを実現できます。 (詳しくは次項「教育ICTのメリット」参照)

もう1つは、いわゆる21世紀型スキルへの対応です。 従来の教育では、いかに大量の知識を暗記できるかに重きが置かれていました。 しかし、知識や情報をインターネットでいくらでも手に入れられるようになった今、膨大な知識や情報の中から必要なものを主体的に選び取り、活用できる「情報活用能力」や「創造力」の育成が急がれています。

また、従来のような、教師から生徒への一方向的な授業ではなく、双方向型の授業やアクティブ・ラーニングが求められるなか、ICTはそれを助けるツールとなる点も注目されています。

このように、教育ICTは、教育の質の向上や時代が求める新しい学びの実現に有効なものとして期待されています。

教育ICTのメリット

教育ICTには多くのメリットがあります。

教育ICT 5つのメリット

1.わかりやすい授業 / 2.学習の効率化 / 3.校務の効率化 / 4.個別学習/協働学習 / 5.情報活用能力

1.わかりやすい授業

映像やアニメーション、音声、Webサイトなど、ICTの活用で授業は飛躍的にわかりやすくなります。 たとえば、図形問題をタブレット上で実際に動かして立体的な理解を深めたり、複雑な時代背景やあらすじを映像で見せることで学習の動機付けを効果的に行います。多角的なアプローチによる教育は、学習者の興味関心を惹き付け、学習意欲を向上させます。

2.学習の効率化

板書をノートに書き写すだけで授業が終わってしまった、という経験を持つ人は多いのではないでしょうか。 ICTを活用すれば、黒板の内容を生徒側の端末にワンタッチで共有できます。書き写しの時間を短縮できれば、その時間を思考力・表現力・創造力を深める活動に充てることができます。 eラーニングや家庭用教材などで見られる自動丸付け機能や難しい単元の繰り返し学習も、学習の効率化につながります。

3.校務の効率化

近年、教員の校務における多忙化が問題視されています。 教員1人1台のコンピュータ整備など、ICTを活用した校務の効率化により、教員の負担軽減を図り、より本質的な教育に時間を割く動きが期待されています。

4.個別学習/協働学習

従来の一斉授業と対極をなす「個別に最適化された学び」が関心を集めています。 一人ひとりの理解度・レベルに応じた出題や、特別な支援が必要な子供たちに対する指導やサポートも、ICTを活用すれば容易に実現可能です。 グループ単位で思考を深め課題解決に取り組む「協働学習」においても、ICTは力を発揮します。お互いの考えを視覚的に共有し、課題に対する意見整理を端末上で円滑に進めるなど、便利な使い方ができます。

5.情報活用能力

社会の情報化が急速に進むなか、子供たちが必要な情報や情報手段を選択し活用できる「情報活用能力」の重要性はますます高まっています。情報社会に主体的に対応していく力を備えるため、またICTリテラシーの習得の観点からも、学校におけるICT活用はメリットが大きいといえるでしょう。

教育ICTのデメリット

教育ICTには多くのメリットがあります。

教育ICT 3つのデメリット

1.インターネットをめぐる問題 / 2.自分で考える力の低下 / 3.書く力の低下

1.インターネットをめぐる問題

インターネットの普及に伴い、有害サイトを通じた犯罪や長時間利用による生活リズムの乱れ、健康被害が深刻な問題となっています。トラブルを招かない使い方や適切に情報を取り扱うための情報モラル教育がますます重要となります。子供たちだけでなく保護者、教員が正しく認識し、適切に対応していくことが大切です。

2.自分で考える力の低下

わからない問題があってもすぐにインターネットで調べられるため、自分で考え粘り強く取り組む力の低下が懸念されます。あらゆる情報を自分で見極め、組み合わせて新しい価値を生み出すことができるよう、ICTを使った学び方の指導や授業デザインが求められます。

3.書く力の低下

デジタル機器を活用した教育の場合、手書きをするという学習行為が減少しがちです。書く力の低下は思考して表現する記述力の低下へもつながります。タブレットに直接書き込める教材や、テキスト教材と併用して学ぶスタイルを取り入れるとよいでしょう。

教育ICT活用事例と効果

eラーニング戦略研究所が2015年に実施した小中高におけるICT活用に関する意識調査報告書によると、「ICT導入で授業や生徒が変わった」とする教員は6割に上っています(「変わらなかった」はわずか2%)。 主な変化は、学習意欲や集中力アップ、学習効果の向上など。さらには、学習の効率化により “本質的な教育”に時間を割けるようになったという意見も見られました。 ここでは、調査報告書から抜粋したデータをご紹介します。

教育ICT活用事例

小学校教員
  • ・調べ学習、PPTを使った教材、iPadを使った映像の導入。
  • ・全教科、視覚的な説明や交流が有効と思われるとき。
  • ・導入でデジタル教科書を使う。
  • ・ネットによる調べ学習をPCで、 算数、理科、外国語などの授業を電子黒板で。
中学校教員
  • ・生徒の机上での活動を、タブレットと接続したプロジェクタで投影し、クラスの生徒全体にフィードバック。
  • ・技術科における作業の説明時、社会科は連続してデジタル教科書を提示。
  • ・数学の授業で計算問題を理解するために。
  • ・英語指導の場面ではほぼすべての場面で活用している。 読む、書く、聞く、 話すの4技能を習得させるために。
高校教員
  • ・基本、授業の全般で用いている(パワーポイントの利用が多い)
  • ・導入段階での動機付けや、まとめ段階
  • ・授業内容をプロジェクタに映してわかりやすく説明する。
  • ・地味な単語や本文の音読もデジタル教科書を使い、グループでゲーム性を持った授業を展開

教育ICTの主な効果

小学校教員
  • ・授業への集中度が高まった。
  • ・顔が上がることが多くなった。
  • ・今まで全くやる気がなかった児童がデジタル教科書を使っただけで問題に取り組むようになった。
  • ・生徒自身が積極的に手を挙げボードを触ってみたがったり、質問に答えようと一生懸命になっている。
  • ・算数の例題説明で動きを取り入れたソフトを使って児童の理解が深まった。
  • ・教科書のみの抑揚のない授業よりも映像や調べ作業などほかの感覚を刺激した方が効率よく集中して学習できる。
  • ・教科書やプリントで伝えづらい動きや音、実際のテーマに合った世界を画像を通してリアルに伝えることができるので、とても生徒の感性を高めていると実感する。
中学校教員
  • ・授業アンケートの結果が全体的に向上している
  • ・動画や画像の拡大掲示により理解が増した。
  • ・短時間で教材の準備ができタイムロスがなくなる。
  • ・集中の度合いが違う。また、時間のロスがないということは、空白の時間により生徒の集中力が途切れて遊んでしまったりすることがなくなる。
  • ・動きのあるものについては板書では理解できていない生徒が多かったが、「わかりやすい」「わかった」という生徒が増えた。
高校教員
  • ・試験で平均点が上がった。
  • ・自分で考えることができる。
  • ・集中するようになった。
  • ・生徒の様子をじっくり観察できる時間が増えた。
  • ・使わない時と比べてスムーズに実習が進んだ。
  • ・暗記ではなく、現象として記憶している

文部科学省による各種調査研究でも同様の結果が報告されており、テストの成績や理解の定着、学習に対する積極性や意欲、学習の達成感などの観点において、教育ICTに高い効果があることが認められています。

教育ICT化の現状と課題

2013年6月に閣議決定された『日本再興戦略』では「2010年代中に1人1台の情報端末による教育の本格展開を目指す」ことが謳われています。しかしながら、2017年3月1日の時点で、教育用コンピュータ1台あたりの児童生徒数は5.9人であり、目標値を下回っているのが現状です。

地域格差も課題です。普通教室の無線LAN整備率は、静岡県63.1%に対し富山県5.7%と大きな開きが見られます。(2017年3月1日時点)

こうした教育ICT化の遅れには予算上の問題のほかに、個々の学校や教育委員会、行政などの取り組み姿勢が大きく関わっているものと考えられます。

そして、教育ICT化は、ただ授業にデジタル機器を取り入れるだけでは成立しません。ICT活用を前提とした授業設計の見直しや、児童・生徒への適切な指導、フォローが必要不可欠です。そこで重要となってくるのが、教員のICT活用指導力です。

ひと口に教員のICT活用指導力といっても、「教材研究・指導の準備などにICTを活用する能力」「校務にICTを活用する能力」「情報モラルなどを指導する能力」「授業中にICTを活用して指導する能力」「児童・生徒のICT活用を指導する能力」など、多岐に渡ります。 年代にもよりますが、「授業のどのような場面でICTを活用すればよいかがわからない」といった声も教育現場からは聞こえてきます。

大切なのは、教育ICTをどう導入するかではなく、“どう使うか?”という視点です。教育ICT化を成功させるためには、教員に対する研修の充実を含めたトータルの環境整備が課題であると言えるでしょう。

教育ICT化に今後必要なもの

最近では、情報化の統括責任者であるCIO(chief information officer)を置く民間企業が増えています。ICT化を重要な戦略と位置付け、ICTの導入・活用を組織的・計画的に進めるとともに、更なる情報通信技術の向上やセキュリティ対策を行うためです。

このCIOを学校や教育委員会にも設置をするとともに、教員の授業支援等を行う人材として「ICT支援員」の積極活用を文部科学省は提言しています。ICTは技術進歩が速く、専門的な知識・ノウハウが必要なため、外部人材の活用は効果的です。今後は教育ICTに関する外部人材の登用や支援・協力を得る視点がますます重要になってくるでしょう。

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