LMSとは(学習管理システム) |
LMSはLearning Management Systemの略で、学習管理システムとも言われます。インターネットやパソコン/スマートフォンで学習を行うeラーニングを実施する際のベースとなるシステムで、多くのLMSでは受講者がログインして学習する受講機能、教員や管理者が受講履歴や成績管理を行う管理機能からなります。
eラーニングを提供するための根幹のシステムで、一般に「eラーニングシステム」や「eラーニングプラットフォーム」などと呼称されることもあります。 通常はGoogle ChromeやSafari、Microsoft EdgeなどのWebブラウザを用いたWebサービスとして提供されます。
なお、「学習管理システム」という言葉のイメージから学習を管理するためのシステムと思われがちですが、管理者向けの学習管理というより、主には受講者に向けて学習しやすく効果の高い学習環境を提供することが主眼に置かれています。
様々な会社やオープンソースで数多くのLMSが提供されていますが、多くのLMSでは下記機能を有してます。
ログイン | ID/パスワードでログインする。 |
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履修コース一覧 | 受講者が履修しているコースを一覧する。 |
履修登録 | コースカタログから受講者が履修したいコースを選択する。 |
目次 | コースの構造(章/単元など)を表示する。合わせて進捗率や学習時間などの履歴を表示する。 |
学習 | 動画やスライドなどを閲覧する。 |
テスト | テスト問題を出題し解答、正誤判定を自動で行う。 |
一斉テスト | 同時刻の一定期間、一斉にテストを開催する。学校の定期試験や資格本試験に利用。 |
レポート | 自由記述のテキストや課題で作成したファイルを送信し評価を受ける。 |
成績表示 | 学習の進捗やテストの得点などの情報を表示する。 |
質問 | 不明点を質問する。 |
受講者登録 | 氏名/ID/パスワード/メールアドレスなどを元に受講者を登録する。 |
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履修登録 | 管理者が受講者にコースを受講できるよう割り当て、登録する。この際コースの開始日/終了日を学習期間として指定する。 |
受講履歴閲覧 | 受講者の学習進捗や得点などの学習状況を確認する。 |
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レポート管理 | レポート出題したり、レポートの回収状況を確認し、採点/評価する。 |
質問管理 | 寄せられた質問を確認し、回答する。 |
コース作成/編集 | コースを作成したり、作成したコースを編集する。 |
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コース構造作成/編集 | 章/単元などの情報を編集する。 |
学習素材割当 | 動画やテストや参考資料などの作成した学習コンテンツをコースに割り当てる。 |
インターネットが普及する以前は、CD-ROM教材やDVD教材を使ったパソコン学習が行われていました。
しかしながらこの方法は、
一方、インターネットが普及し、教材や受講者データをオンライン上で管理するようになって以降は、
そこで登場したのが、LMS(学習管理システム)です。
LMSでは、現場の担当者でも直感的に操作可能なインターフェースや仕組みにより、受講者データ、教材やプログラムまでもをサーバ上で簡単に一括管理できるようになりました。
提供者側は履修者登録や受講者管理、教材の更新、プログラムのメンテナンスをコストを抑えながらスピーディに行えるようになり、学習者側はいつでもどこでも最新の環境・教材で学習ができるようになったのです。LMSではさらに、学習進捗管理というeラーニングならではの機能が搭載されています。
学習者のログイン状況や受講頻度、テストの結果、間違った問題や苦手な分野、規定のコースを完了したのかどうか――こうしたデータを取得することで、よりよい学習につなげる取り組みが注目されています。LMSの扱う範囲は学習そのものだけでなくその周辺にも及ぶこともあります。ここではLMS周辺機能のうち代表的なものを紹介します。
告知 | 管理者や教員から受講者に一斉に通達する情報を告知する。 |
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FAQ | よくある質問をFAQとしてまとめ受講者に掲示する。 |
会議室/チャット | 会議室機能やチャット機能で、受講者同士や教員を交えたコミュニケーションを取る。 |
ライブ配信 | 映像と音声をライブで受講者に配信する。遠隔への一斉授業配信や拠点を結んだ授業で利用する。 |
メッセージ送信 | 未履修の人や学習遅延者などにメールを送付する。手動で対象者を抽出して送付することもあるが、送信ルールをシナリオ化し自動で送信するLMSもある。 |
LMSの受講者機能と管理機能に加え、教材作成機能を追加したシステムをLCMS(Learning Content Management System)と呼ぶこともあります。単に教材作成機能だけを指してLCMSと呼ぶこともあり、この場合はコンテンツ管理システム(CMS)のラーニング版という側面もあります。
コンテンツ作成ツールをオーサリングツールと呼称しますが、LCMSはLMSにオーサリングツールが内包されたものとも言えます。
各社のLMSはそれぞれ独自の仕様で設計されており、例えばA社のコンテンツをB社で利用することはできません。メーカやシステムの垣根を超え、コンテンツを各LMSで相互運用できるための標準規格が存在します。
(DVDやBlu-rayのソフトが特定のメーカでなく全てのメーカの装置で再生できるのと似ています)
現在ではSCORM(Sharable Content Object Reference Model=スコーム)という規格がデファクトスタンダードで、世界中で広く使われています。 SCORMはアメリカのADLという団体により作られた規格で、SCORMに準拠したLMS同士だとコンテンツの相互運用が可能です。 なお、SCORMにはいくつかバージョンがありますが、広く知られているバージョンはSCORM1.2とSCORM2004の2つです。
日本ではSCORM1.2に適合したLMSを特定非営利活動法人日本イーラーニングコンソシアムで認証しています。
なお、SCORM2004は日本の機関では認証しておらず、アメリカのADLが認証しています。
一見便利そうなSCORMですが、その互換性に問題があり、日本ではそれほど普及していない状況もあります。SCORM対応したLMSはその振る舞いにおいて独自解釈があり、全てのSCORM準拠コンテンツが期待通りに完全に動くとは限りません。よってA社のLMSからコンテンツを移行してB社のシステムに登録してもうまく動かないという状況が散見されます。
LMSは単独でも教育サービス提供は行えますが、他のシステムと連携することでさらに利便性を高めることもあります。LMSがシステム連携する代表的な他システムを紹介します。
企業内研修の場合、企業は所属する職員の情報を人事データベースとして管理していることがあります。LMSに登録する職員の氏名、社員番号、メールアドレス、所属などのデータを人事データベースから入手したり、LMSの学習結果や成績情報を人事データベースに送付することがあります。このように人事データベースとLMSとを連携することは大規模の企業内研修では運用効率を高めるためによく行われます。
教育サービスや企業・学校で、全ての方が利用されるポータルサイトが存在することがあり、LMSの利便性を高めるためにポータルサイトとLMSを連携することがあります。ポータルサイトからLMSのログイン画面にリンクを貼ったり、ポータルサイトにLMSのログイン画面を埋め込むこともありますが、ポータルサイトで個人認証がなされていればLMSへのリンクをクリックすると自動でLMSにログインさせることも可能です。これをシングル・サインオン(SSO)と言い、上記の人事データベースとの連携と合わせてよく行われます。
商用eラーニングの場合、受講者は受講したいコースを選んで購入し学習サービスを受けます。この「購入」というプロセスをオンラインで行う際にはお金をお支払いいただく決済処理が必要となり、決済サイトのサービスを利用します。この決済サイトとLMSを連動させ、決済サイトで購入した方に受講に必要なアカウントを発行し、そのアカウントでログインできるようにしておく必要があります。この仕組みを実現するために決済サイトとLMSを連携させるのです。
以前はeラーニングの多くはパソコン上のWebブラウザを利用して学習をしていました。昨今のスマートフォンの普及に伴い、スマホ対応するニーズが高まっています。
この際、パソコン用のインタフェイスをスマホのWebブラウザで閲覧すると操作性が悪いため、スマホの操作に合わせたインタフェイスを搭載することが求められます。昨今では「レスポンシブデザイン」というデザイン形式が主流となり、同一システムでパソコン・スマホ双方に最適な見え方が可能なサービスを提供しています。
さらに従来のLMSはWebブラウザでの学習を前提としていましたが、最近ではスマホ用の専用アプリを用意してサービス提供することもあります。特に若い世代ではスマホの利用率も高く、これからの学びの主流となると思われます。
受講者は学習を1つのLMSだけで行うわけではありません。複数のLMSを用いたり、学習サービスのWebサービスやアプリを利用したり、リアルの教室で学ぶこともあるでしょう。そういう状況では学習履歴がそれぞれのシステムや場所に散らばり一元管理を行うことができません。
そこでこれら複数のシステムの学習履歴を一箇所に集め、これを管理することが求められます。この学習履歴を一箇所で管理するデータベース、いわば教育ビッグデータをLRS(Learning Record Store)と呼びます。
ひとつのLMSだけでなく複数のLMSや他の学習サービスの情報が蓄積されたLRSのデータを分析・活用することで、学習活動全体の様子を可視化したり、レコメンドやアダプティブなどの有益な機能を提供することもできますし、これらLRSのデータを分析することで退学者/辞職者を事前に予知したり、優秀な成績を修めるのに必要な学習行動を分析することで、教育の改善につなげることもできます。これらデータ分析・活用をラーニング・アナリティクスと呼び、教育ビッグデータの活用として注目されています。
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