一般財団法人GovTech東京
正念場を迎えた、自治体のガバメントクラウド移行――東京都のDXと人材育成への挑戦

全国の自治体が直面する大きな転換点――ガバメントクラウド移行。その正念場で現場を支えるのが、東京都と一体となって行政DXに挑むGovTech(ガブテック)東京様です。今回実施されたのは、都内職員向けのガバメントクラウド運用の勉強会。ライブ配信やアーカイブ動画を駆使し、多忙な現場でも学びやすい環境を実現しました。本記事では勉強会の成果に加え、GovTech東京様が描く人材育成と東京都DXの未来像についてお聞きしました。

一般財団法人GovTech東京 デジタル人材本部
人材育成グループ長 長岡翔平 様(左)
人材育成グループ エキスパート 阿部優太郎 様(右)

お客様のニーズ

  • 「令和7年度 区市町村職員向けガバメントクラウド運用の勉強会」のライブ配信と、
    事後も活用できるアーカイブ動画(eラーニングコンテンツ)の作成

デジタル・ナレッジの取り組み

  • ロケハンによる機材設置や設備環境の事前確認、進行打ち合わせ
  • 当日のライブ配信・撮影(機材・カメラマン手配、配信用タイトル画像の制作を含む)
  • アーカイブ動画の編集と最適化

取り組みの成果



官民協働で挑む「スマート東京」―― GovTech東京の役割

最初に、GovTech東京とはどういった組織なのか、ご紹介をお願いします。

長岡様:GovTech東京は、東京都および都内区市町村の行政DXを加速するために2023年7月に設立された組織です。「デジタルの力で住民一人ひとりの生活を豊かに、そして幸せに」をミッションに掲げており、都庁の外に独立した組織を置くことで、東京都庁だけでなく区市町村や民間の力を結集し、スピード感を持って柔軟に行政サービスを変革することを目的としています。

官民協働体制の強みはどんなところにありますか?

長岡様:GovTech東京は、都庁のデジタルサービス局と「バディ」と呼ばれる関係を築き、協働で日々の業務を力強く推進しています。行政の専門組織である都庁と、デジタルに強いGovTech東京が協働することで、東京全体のDX推進に繋がると考えています。

こどもDXから共同調達まで ―― 広がる東京都の行政DX

GovTech東京の代表的な取り組みを教えてください。

長岡様:都庁各局や区市町村のDX支援、デジタル基盤、データ利活用推進など、さまざまな取り組みを展開しています。
具体例を挙げると、一つは「こどもDX」です。「つながる子育て」をキーワードに、組織や行政の垣根を越えて便利で快適な子育て支援サービスを実現するべく、子育て当事者の○○そびれを無くすプッシュ型子育てサービスや、保育園探しから入園までの手続きがオンラインで完結する保活ワンストップ等の取り組みを実施しています。

もう一つは「共同調達」です。区市町村と協働して、自治体間で共通で利用できるツールやシステム等の調達や開発に取り組むなど、いわゆる車輪の再発明を防ぎ、自治体を超えた最大公約数の共同化を推進しています。


新たな取り組みとして、2025年2月にリリースされた東京都公式アプリ「東京アプリ」。
都民一人ひとりがスマホ一つで行政とつながることを目指し、東京都とGovTech東京とが連携して開発・運営。
GovTech東京は技術面(プロダクト設計、構築、UIUXデザイン等)を担っている。

多忙な現場を支える“ガバメントクラウド勉強会”

今回実施された「令和7年度 区市町村職員向けガバメントクラウド運用の勉強会」についてお聞かせください。

阿部様ガバメントクラウドとは、国や地方公共団体など公共情報システムが共同で利用するクラウドサービス基盤です。セキュリティ強化 等の観点から、これまで自治体によってバラバラに調達・運用していた行政システム 基盤を「共同で利用するクラウドサービス基盤」 へ移行する取り組みが進められています。20の標準業務については、2025年度末までに標準準拠システムへの移行 が目標だったため 、全国の自治体が対応に追われています。

そこで、都内の主に情報システム担当職員に向けて、クラウドベンダーによる運用解説や先行自治体の事例共有を行い、円滑移行を支援する目的で今回の勉強会を企画しました。

重要な勉強会を届けるために ―― ライブ配信とアーカイブの工夫

本勉強会では弊社がライブ配信やアーカイブ動画を担当させていただきましたが、どのような点を重視されましたか?

阿部様:遠方や離島の職員も参加できるよう、対面+ライブ配信のハイブリッド形式を採用しました。また、より多くの職員に視聴いただけるよう、アーカイブ化を前提にしていました。そのため、単なるライブ配信ではなく「eラーニングコンテンツとして成立するか」を重視しました。

配信や撮影において印象に残った工夫はありましたか?

阿部様:当日は講師を映す定点カメラでの撮影でしたが、講師がスクリーンを指し示すという想定外の動きがあった際も引きの画で的確に撮っていただき、結果として情報が正しく伝わる高品質なアーカイブ動画ができました。撮影は一発勝負でやり直しがきかないため、その場での柔軟な対応は大変助かりましたし、お任せしてよかったです。

当日の配信画面

長岡様:アーカイブ動画は画質もとても綺麗な仕上がりで、「東京デジタルアカデミー」という東京都のポータルサイトに掲載することができました。当日参加は延べ約80名でしたが、今後、さらに多くの自治体職員の皆さんに視聴していただけることを期待しています。

2040年ビジョン ―― 東京が描く行政サービスの未来

GovTech東京が目指す将来像についてお聞かせください。

長岡様:2040年に向けたビジョンでは、3つの目標を掲げています。

  1. デジタルサービスに対する都民の90%以上がポジティブに評価
  2. 誰もが使いたくなるサービスを生み出し、全国の半数以上の自治体で採用
  3. 1,000人以上のデジタル人材が公共領域で活躍、うち100人以上がCIO等の主要ポストで活躍

私たちは、都内62区市町村はもちろん、“首都・東京”として全国約1,700以上の自治体や世界の各都市に貢献するという思いを込めたビジョン”情報技術で行政の今を変える、首都から未来を変える”のもと、あるべき未来から逆算し非連続な変革を提案していきます。また、協働する多くのセクターの皆さまと共有し、より一丸となってゴールに向かうことを目指していきます。

東京発の人材育成を全国約1,700の自治体へ

日本の首都である東京が先行することによって、全国的な波及効果も大きいと思います。

長岡様:東京の取り組みは全国の自治体から注目されていて、参考にしていただくケースも多いと感じています。加えて、私たちは「人材輩出組織」という使命も持っています。GovTech東京で行政DXの経験を積んだ人材が、やがて全国の自治体でDXを牽引し、日本全国の人々のQOL 向上につながるよう貢献していきたいですね。

人材育成グループとしての課題や抱負をお聞かせください。

長岡様:人材育成というと「研修」のイメージが強いですが、もちろんそれだけではなく、「経営戦略と連動した人材戦略を描く」「スキルを可視化、人材をポートフォリオ化し課題を明確化」、そして、「課題解決に資する研修を開発・提供する」というステップが重要です。現在は東京都を主な対象として、DX推進のための人材戦略 の策定から研修開発までを実施していますが、将来的には全国約1,700自治体へのソリューション展開へとつなげていくことも視野に取り組んでいます。東京で培った知見を全国に届けることは、日本全体の行政サービスを底上げする挑戦でもあります。

同時に、学習環境の整備も重要です。対面研修だけでなくオンラインやマイクロラーニングを組み合わせ、職員が業務を行う流れの中で「いつでも・どこでも学べる」仕組みを目指しています。民間企業が持つ知見や事例も積極的に取り入れながら、実務に活きる学びの形を確立していければと思います。

日本をより良くしたい ―― DXの最前線に立つ使命感

最後に、この取り組みにかける思いをお聞かせください。

阿部様:民間から転職して行政に携わるようになり、独自の仕組みや文化を肌で感じています。だからこそ、行政の現場目線を大事にして、職員の皆さんが少しでも新しい気づきや学びを得られるように努めています。 小さな積み重ねがやがて大きな前進につながると信じて、これからも真摯に取り組んでいきます。

長岡様:行政DX、人材育成の最前線での取り組みに使命感を感じています。全国280万人もの自治体職員の働き方を改革し、支えていく。その実現は、全国民へのサービス向上をはじめ大きな社会貢献につながるはずです。日本をより良くしたい ―― その思いを着実に実現できる場所が、今のGovTech東京だと思っています。


【デジタル・ナレッジからみた本事例のポイント】
この度は、集合研修ライブ配信およびアーカイブ動画制作の機会をいただき、誠にありがとうございました。本プロジェクトでは、事前のお打ち合わせとロケハンを通じて、配信機材の最適化とリスク管理を徹底いたしました。これにより、講師による予期せぬ会場内の移動にも、予め設置していた広角カメラにより対応することができました。結果として、ライブ配信のスムーズな進行と、高品質なアーカイブ動画の素材確保を両立させることができました。本件につきまして、「期待を上回る仕上がり」との高いご評価をいただき、制作担当者一同、安堵しております。
GovTech東京様が推進される重要なミッションの一端を担うことができ、深く感謝申し上げます。

《サービス推進事業部 コンテンツ室 細川 賢仁》

お客様のサイト

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お客様情報

名称 一般財団法人GovTech東京(英語名:GovTechTokyo)
設立 2023年7月24日
本社所在地 東京都新宿区西新宿二丁目4番1号 新宿NSビル24階

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