学内初となる通信教育部の開設に挑んだ岡山理科大学様。短期間でのシステム構築・コンテンツ制作・運用設計が求められる中、採用されたのが“LMS×スタッフ常駐支援”の「伴走体制」でした。
2025年4月に無事開講し、国内外から多数の学生が入学。通学と同等の教育品質を完全オンラインで提供する、新しい学びの場が誕生しました。今回は、立ち上げを牽引した牧教授(情報理工学部)と宮本様(通信教育事務課)に、プロジェクトの裏側をお聞きしました。

通信教育部 情報理工学部 情報理工学科長 フロンティア理工学研究所(併任)教授 牧 祥 様(写真中央)
通信教育事務部 通信教育事務課 宮本裕生 様(写真右)
(常駐スタッフ)株式会社デジタル・ナレッジ 文教ソリューション事業部 シニアディレクタ
岡山理科大学 通信教育部 メディア教材サポート 杜 宣慧(トウ センケイ)(写真左)
導入前の課題
- 学内初となる通信教育部を立ち上げたい
- 限られた期間で、システム構築・コンテンツ制作・運用設計をゼロから形にする必要があった
導入サービス
- KnowledgeDeliver、カスタマイズ、Video+、他社基幹システム連携、スタッフ常駐による運用支援
導入後の成果
- 2025年4月、「通信教育部 情報理工学部 情報理工学科」を開設
- 「LMS×スタッフ常駐支援」の伴走体制でシステム・コンテンツ・運用の品質を担保し、安定稼働を実現
- 初年度から国内外の多様な学生が入学
- “復習に強い設計”を目指したことで、通信でも通学と同等の学びが可能に
認可から開講まで約7か月半年――ノウハウゼロで挑んだ“理系通信教育部”の新設
通信教育部を立ち上げた背景について教えてください。
牧教授:コロナ以降のオンライン学習の普及や少子化による18歳人口の減少など、さまざまな背景がありました。通信教育の需要は年々高まっており、学長の「将来的には大学の講義を全てオンデマンド化したい」という構想の後押しもあって、通信教育部の新設に踏み切りました。
宮本様:本学としても初の取り組みです。理系の通信教育は国内でも前例が少なく、本学の大きな特徴になると考えました。
設置申請を進めるうえで、どのようなご苦労がありましたか。
宮本様:実は3月に申請した設置計画で修正を求められたので、教育課程や管理運営体制を見直し、6月に補正申請しました。8月に認可が下りた後は、授業開講までの約7か月間、急ピッチで準備を進めました。
牧教授:教職員全員が通信制の立ち上げは初めてで、ノウハウは全くのゼロ。手探りで膨大な申請書類やシラバス作成に追われる中、デジタル・ナレッジさんの支援は本当に大きな力になりました。

なぜ「LMS×スタッフ常駐支援」が必要だったのか

弊社サービス採用の決め手についてお聞かせください。
宮本様:複数社を比較検討しましたが、LMSの柔軟なカスタマイズ性・管理機能の高さ、そして通信教育立ち上げの豊富な実績は他社にはない強みでした。加えて、スタッフ常駐による運用支援をご提案いただいたことが決め手になりました。
“常駐支援”はなぜ必要だったのでしょうか。
宮本様:コロナ期にオンライン授業の経験はありますが、通信教育部となると求められる設計や制作フローは大きく異なります。収録スタジオの構築から撮影、編集、運用まで、継続的に支援を受けられる体制は不可欠でした。実際にデジタル・ナレッジの杜さんが学内に常駐し、日々の制作・運用を支えてくださったことで、短期間での立ち上げを実現することができました。本当に感謝しています。
どのような支援が特にお役に立ちましたか。
牧教授:オンラインは一方向で話す時間が長いため、60分授業ならPPT約60枚分のコンテンツが必要です。ゼロから作る先生もいて、制作はかなり大変です。このコンテンツ制作の要所を杜さんが取りまとめてくれて、「次はこれを準備しましょう」と具体的な段取りや締切を示してもらえたのは、非常に助かりました。
常駐がなかったら立ち上げはもっと大変でしたか。
牧教授:間違いなく大変でしたね。撮影時には照明や目線、音のノイズまで細かく見ていただきました。品質チェックまでも学内で完結させるのは到底無理だったと思います。伴走体制のありがたみを実感しています。

現在は後期授業の収録支援に携わり、全科目のオンライン化を目指している。
学生から「レベルが高い」と評価――質の高い教育を支える“復習設計”
開講後の運用状況はいかがですか。
牧教授:2025年4月に無事開講し、大きなトラブルなく春学期も乗り越えられました。初年度は国内の高校生、社会人のほか、JDU(※1)から多くの海外学生も受け入れています。
学生さんからはどのような反応が届いていますか。
牧教授:以前、他の通信制大学にも通っていた学生から「岡山理科大学の通信制は大学らしい授業でレベルが高い」という声をいただき、ひと安心しているところです。本学では研究者や教授クラスの教員が通信制の授業を担当しており、最新の情報科学を学べる専門性の高さが強みです。
専門性の高い学びをオンラインで提供するため、どのような工夫をされていますか。
牧教授:“復習に強い設計”を導入しました。授業動画の途中に複数の確認テストを配置し、クリアしないと先へ進めない仕組みです。これはデジタル・ナレッジさんからの提案だったのですが、導入してみたら非常に効果的であることがわかりました。さらに、小単元ごとに3~4回のテストを設け、期末試験につなげる構成にすることで、自然と復習サイクルが回るようになっています。学生には学修(※2)が増えてちょっと大変かもしれませんが、質の高い学びを提供できるシステムになっているのはすばらしいです。
※1 JDU:Japan Digital University
2020年にウズベキスタンで設立された正規大学で、高度IT人材の育成を目的としています。デジタル・ナレッジではJDUキャンパス拠点を活用した海外学生募集支援を行っており、教育内容の親和性から、岡山理科大学 通信教育部でもJDU学生の受け入れが実施されています。
※2 学修(がくしゅう):学問や技術を学び、それを身につけて自分のものにすること
「理大×通信」の意義と広がる可能性

通信教育の利点とは何でしょうか。
牧教授:通信教育の最大の強みは「繰り返し学べる」点です。通学ではどれほど良い講義でも一度しか受講できませんが、オンデマンド型なら何度でも見返すことができます。この利点を最大限に生かすには、学生が“繰り返し学べる仕組み”をどう設計するかが重要で、今回はその流れをシステムの力で実現することができました。
理系分野を通信教育で提供する意義については、どのように捉えていらっしゃいますか。
牧教授:特に情報分野はオンラインとの相性が良く、通信でも通学と同等の学習成果を十分に期待できます。本学では基礎教育にも力を入れており、線形代数などの数学科目も充実させています。通信だからといって水準を下げるのではなく、卒業時に確かな力を備えた学生を育てたい――そうした強い思いで高度ICT人材の育成を目指しています。したがって、学生はもちろん、社会人がスキルアップするためにも理系の通信大学は今後ますます必要になってくると考えています。
不正受講対策・個別支援――より良い通信教育を目指して
今後の方向性を教えてください。
牧教授:“復習を前提にした学び”の設計が機能し、視聴ログや学習データも活用できるようになりました。今後は、コンテンツ品質の向上や不正受講対策、学生コミュニティの活性化、学習進捗が遅れている学生への個別支援にも力を入れていきたいですね。
宮本様:常駐スタッフの杜さんに加え、デジタル・ナレッジ東京本社からも遠隔支援を受けています。本学教職員や学生アルバイトとの連携も円滑で、現場の雰囲気は非常に前向きです。引き続き改善を重ね、より質の高い通信教育を実現していきたいと考えています。
最後に、これから通信制を立ち上げる大学へメッセージをお願いします。
牧教授:通信制の立ち上げは想像以上に大変です。シラバス作りは認可後の運用に直結しますので、慎重に作ることをおすすめします。あとはコンテンツ制作から運用まで一気通貫で支援してくれるパートナーがいれば、現実的に前へ進めることができると思います。経験やノウハウが豊富なデジタル・ナレッジ社の伴走体制でご支援をいただけるのはとても心強いです。
宮本様:通信制大学は、社会人の利用に加え高校生の進学先としても需要が高まっていて、今後はより一層の質の向上も求められます。システムだけでなく、運用や人的サポートまで含めて設計できるパートナーを選ぶことが、成功への第一歩になるのではないでしょうか。
【デジタル・ナレッジからみた本事例のポイント】
学内初となる通信教育部設立に対し、認可後7ヶ月での開講を「LMS×スタッフ常駐」の伴走体制で実現できたこと、スタジオ構築から運用まで現場に深く入り込むご支援が、安定稼働に寄与できたのであれば我々も大変光栄に思います。
今後も大学教育のDXを、システムと人的サポートの両面から強力にご支援してまいります。
《文教ソリューション事業部長 三堀 将寛》
ご利用いただいた製品・サービス
- カスタマイズ
- Video+
- 他社基幹システム連携
- スタッフ常駐による運用支援
お客様のサイト
お客様情報
| 名称 | 岡山理科大学 |
|---|---|
| 設立 | 大学設置:昭和39年(1964年) |
| 所在地 | 岡山市北区理大町1-1 |
