工学院大学電子工学科卒業、富士電機株式会社入社、富士通との合弁会社にて基本ソフトウェア開発に従事。1995年12月に株式会社デジタル・ナレッジを創業、代表取締役社長就任。
1995年12月20日 | eラーニング専業の株式会社デジタル・ナレッジを設立。代表取締役に就任。以来、1500組織を超える企業・スクール・学校のeラーニングシステムを立ち上げ、現在ではeラーニング専用プロダクツ(製品)、eラーニングシステムカスタマイズ(構築)、eラーニングサーバー運用(ホスティング)、コンテンツ製作・販売(教材)、受講者募集支援(プロモーション)、運用アウトソース(運用)、教室・IT機器(教育IT)の7つのeラーニング関連事業をワンストップで実施し、教育機関と受講者を結ぶ「学びの架け橋」となるべく活動。 |
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2002年12月 | eラーニングの運営会社株式会社デジタル・ナレッジ・ユニバーシティ・ラーニングを八洲学園大学様と共同で設立(後にデジタルハリウッド様も参画)。代表取締役に就任。以来、高等教育機関向け総合eラーニングのASPサービスを運営。 |
2007年4月 | eラーニング専門の研究所としてeラーニング戦略研究所を設置、eラーニングのテクノロジー、マーケット、教育効果などについての調査・研究活動を実施。 |
2008年2月 | 高等教育機関に向けITを利用して教育力向上を図ることを目的に、株式会社デジタル・エデュケーショナル・サポートを大手前大学様と共同で設立、COO就任。以来、主に大学に向けて、ITを活用して教育の高度化を推進する活動に従事。 |
2009年9月 | 消費者に向けたeラーニング販売を目的に、NTTグループと株式会社NTTナレッジ・スクウェア(現 株式会社ドコモgacco)を設立、取締役就任。 |
2011年6月 | 日本eラーニング大賞(経済産業大臣賞、総務大臣賞、文部科学大臣賞、厚生労働大臣賞)を運営するe-Learning Awards フォーラム事務局長就任。 |
2014年4月 | 文部科学省デジタル教材等の標準化に関する企画開発委員会 第二分科会委員として活動。 |
2015年2月 | みらいのまなび共創会議 ICT CONNECT 21 発起人として設立に参画。 |
2016年4月 | 「eラーニングを取り巻く現状と未来」について豊富な事例とともに紹介・発表・議論する国内唯一の総合フォーラム『eラーニング アワードフォーラム』を運営する一般社団法人e-Learning Initiative Japan代表理事就任。 |
2016年6月 | 日本IMS協会 理事に就任。 |
デジタル・ナレッジは1995年年末に創業し、それ以来、多くの教育研修機関さまの学びの架け橋をつくってまいりました。
私は大学卒業とともに富士電機株式会社に入社しました。その後、富士通との合弁会社に移り、工業制御用の基本ソフトウェア(OS)開発を行っていました。
私は富士電機で開発者として様々な開発を行ってきましたが、当時の私が携わっていたものは社会インフラのようなものでした。社会インフラですから世の中には必要不可欠なもので、自分の仕事が社会の役に立っている思いはあったものの、直接使っている個人が喜んでいるシーンに出会うことでの貢献の実感はできませんでした。自分のアイディアや技術を形にし、それを多くの方に提供し喜んでもらい、役立っている様子を直接目に触れて実感したい・・・ そういう思いを抱いていました。
そのころ、世の中では今ほどパソコンは使われておらず一般の方がコンピュータに触れる機会はありませんでした。先々パソコンやネットワークが普及し、一般家庭にも入ってくると言われていました。そんな中、マイクロソフトがWindows 95というOSをリリースしました。
マウスによる操作は、これまでキーボードで命令していたのとは違い、誰もが簡単に使えるようになっていました。出力も文字だけではなく、画像や音声、映像などの「マルチメディア」に対応し、表現力も大幅に引き上がっていました。当時まだ出たばかりのインターネットに接続することも想定されていました。私はプライベートではマッキントッシュを使っており、その利便性や可能性にWindows 95以前から気づいていましたが、このWindows95の到来により、家庭にパソコンが普及し、子供からお年寄りまでもがパソコンを使える環境が今後広まってくるであろうことを予見しました。
家庭にネットに接続されたパソコンが普及する。その環境を使って何かできないか?
そこから考え出したのが家庭での学習でした。家庭にパソコンが行き渡り、子供達がパソコンを使って学ぶ世界を夢想しました。先生の教育指導があらかじめマルチメディアな教材として記録されており、それらを自由に学習できるとしたらどうだろう? 地域格差がなくなり、多くの子どもたちがいつでも質の高い教育を受けることができる・・・ そんな世界が、パソコンとインターネットを活用し、自分の技術力を投入すると実現できるんじゃないだろうか? そう夢想したのです。
そこで私は会社の仲間たちと、そういうシステムを開発しようと集まりました。休日返上、夜中の時間も使って教育システムの開発を行いました。こうして自分たちの理念を具現化した教材やマルチメディアの読み物などを搭載したデモ版が完成しました。動画や音声、簡単なアニメーションも使って作り込まれた教材で、主要教科をわかりやすく説明してくれるようなシステムでした
ただ、実際にデモ版が出来上がったからといって、多くの方に利用してもらえるわけではなく、プロモーションや営業活動を行わなければなりません。私たちエンジニア出身の仲間は、さて、どうしようと頭を悩ませた結果、中学生のお子さんのいらっしゃる家庭にダイレクトメールを送って集客しようと思い至りました。まだ個人情報保護の概念がない時代、横浜市役所に行き、住民台帳を閲覧させてもらい、条件に合致する人のリストを作成したのです。今では言語道断な行為ですが、当時はよく行われていた合法的な手法でした。リストを1,000件、氏名・住所をペンで紙に書き取って、1,000の家庭にダイレクトメールを送りました
結果、そこから反応があったのは3件でした。文字通り「せんみつ」(千三つ・・千件当たって3件ヒットするというマーケティング用語)だったのです。さらにその3件から実際に訪問とデモができたのは1つのご家庭だけでした。
そのご家庭を訪問し、パソコンを持ち込んで、お子さんとお母さんに向けてデモをしました。お子さんとお母さんはそのデモを見て目を輝かせて、「これはすごい! こういう時代が来るんだ!」と感動の言葉をいただきました。まさに「自分のアイディアや技術を形にし、それを多くの方に提供し喜んでもらい、役立っている様子を直接目に触れて実感したい」というのを初めて実現した瞬間でした。
手応えを感じた一方、まだ早すぎた感もあり、だからと言って「これください」という状態には至りませんでした。
さて、頑張ってデモ版を開発し、1,000件のリストを集めてDMを送って反応があった3件にコンタクトをしてデモに漕ぎ着けたのが1件、それも販売には至らなかった・・・ しかも、まだデモ版であって、実際にサービス提供するまでには膨大な開発が必要になる・・・ 手応えは感じたものの、このモデルでは成立しないとも思いました。一度は断念しようと諦めかけたのですが、自分たちだけでやるのではなく、大手教育企業さんに提案をして一緒に進めるのはどうか? と思い至りました。そこで思いつく様々な教育企業の社長さん7名様宛に、これまで我々が行なってきたこと、実現しようとする世界観、未来について、自分の思いを手紙に書いて投函しました。
投函2日後、仕事を終えて家に帰ると、留守番電話の新着メッセージを示すランプがチカチカと点滅していることに気づきました。急いで留守電のメッセージを聞くと、私が手紙を出した教育企業の社長さんたち3名から、直接電話をいただき、留守電にメッセージを残しておいていただけたのです。日本を代表する大手教育企業の社長さんたちがわざわざご自身で自分の留守電にメッセージを残してくれた! と感動したのをよく覚えています。
そして、お電話をいただいた会社さんの一社、明光義塾を運営する明光ネットワークジャパンさんを有給休暇をとって訪問しました。
通された会議室には明光ネットワークジャパンさんの創業者でもある渡邉社長(当時)を筆頭に、役員や関係者が総勢20名ほどいらっしゃって圧倒されそうになりました。私がこれまでやってきたこと、今後実現する世界観をプレゼンすると、その中の担当者さんの1人が「それは自分たちも考えているプランだ」とおっしゃられました。ああ、ここでも無理かなぁと思ったものの、私はこれまで実現してきたこと、その経験を踏まえて、先に起こりうること、こうした方がいいというポイントなどを率直に語りました。
話が一通り終わると、渡邉社長が他の人を人払いされました。会議室には渡邉社長と私の2人だけ。そこで渡邉社長から、自分たちは遅かれ早かれ、インターネットとパソコンを活用したサービスを開発するが、やるのなら、君と一緒に進めたほうが良い、とおっしゃっていただきました。
今になって振り返って思うのですが、その時、自分にはこれをなんとしても作って世に広めたい、それが自分の使命だという確固たる意志のようなものがありました。そして、若者、バカ者、よそ者・・・ イノベーションを起こすにはこの3つの条件が必要だと言われます。当時まだ20代だった私は、教育業界からすると、まさにこの3条件に合致していたのだと思います。無鉄砲に理念を掲げ、空気を読まずに、ただただそれを追い求める。その姿勢と新しい世界観が渡邉社長の琴線に触れたのだろうと、後になって思います。
こうして明光ネットワークジャパンさんと取引を開始することになり、私と当時の仲間で1995年12月20日に弊社の前身である「テレコム学習ネットワーク有限会社」(その後2000年に株式会社デジタル・ナレッジに改組改名)を設立したのでした。
どんな事業をすべきか・・・そのときの私たちは、システムエンジニアだけの組織でした。そして、多くの教育ノウハウを持つパートナーとして明光義塾さまがいましたので、私たちは自分たちで教材を作らず、システムに徹することとしました。自分たちがeラーニング教材を作らないわけですので、先生方に教材を作ってもらうための使いやすい教材制作ツールをまず最初に開発し、多くの先生方が私たちのシステムの上で教材をつくり、指導をしていくことができるようなシステムを基本的な考え方としました。
これが、教育者が参加するeラーニングという場所をつくり、私たちは「学びの架け橋」に徹するというデジタル・ナレッジのコンセプトにつながっています。
そして創業から30年の間、私たちは3,000機関もの学校さま、大学さま、民間スクールさま、学習塾さま、企業研修部門さまなどのお客様の教育をシステム化してきました。
そこでは、様々な素晴らしい教育を、ありがたいことに当事者として、目の当たりにすることができました。
それぞれの教育機関さまの教育に対する思い、教育メソッド、ポリシーを膝を突き合わせてお客様と語り、明らかにし、仕組みとして設計する。そしてそれをWeb上に実装し、運営し、反応をフィードバックして新たな改善につなげていく。
こういった営みを続けてきて感じるのは、10の教育機関さまがあれば10色の教育メソッドがあり、この教育メソッドをWeb上のサービスにも取り込まなければ、その教育機関さまのeラーニングサービスにはなりえない。そこで私たちがこれをテクノロジーの上で実装していく必要がある、ということです。
とある資格試験対策スクールさまの設計をしているときに、システム設計のために1つの授業に参加させていただきました。その大講堂は熱気ムンムンで、ズラーッと並んだ長机にはびっしりと人が座っていました。私も座って先生が来るのを待っていると、先生が来て登壇した途端、シーンとなった大講堂にはピリッとした緊張感でみなぎり、板書をし始めると、全員が一斉にノートを開き一心不乱に書きはじめる・・・着席している私は受験生ではないにも関わらず、左右の受験生が必死にノートに取り組んでいる空気感に押されて、ついつい私もノートを広げてしまった。。
資格試験ではともすると合否が一生を左右する中で、受験生は周りを強く意識し、その競争意識をこの大講堂で鼓舞されているという教育メソッドなのでした。
また、とあるデザインスクールさまでは、クラスの学生の中にヒーローを定め、そのヒーロー学生の作品の良いところを先生が授業で披露し、ヒーロー学生の未来の夢なども共有していく。その中でヒーロー以外の学生は、憧れと同時に負けられないという感情を持ち、互いに切磋琢磨していく。先程の資格試験スクールさまとは違い、デザインのように点数が付けにくい感性を磨く教育らしい教育メソッドだと思いました。
当然、このような競争意識や、憧れの感情の引き起こし方には、それぞれの教育機関さまの独自の具体的な教育メソッドがあり、これと同じ効果をWebでも発揮するようにeラーニングサービスでも再現、組み込む必要があります。そのための設計をお客様と喧々諤々行って1つ1つシステム実装していく活動を続けています。
このような活動を30年続けてきた中で、品質高く、しかもスピード早く、独自の教育メソッドをシステムに組み込むために「四階層モデル」が自然に確立されてきました。
また、どんなテクノロジでも同じですが、そのテクノロジと利用シーンが一致していないとうまく使われないシステムができてしまいます。ですのでシステムの機能を考えるときに、事前に教育シーンを考えておく必要があり、それがデジタル・ナレッジの設計フレームワークである、先生の活動4分化と、教育環境の5レイヤとなっています。
https://www.digital-knowledge.co.jp/about/mission/
教育が行われている環境を5つのレイヤに分類し、それぞれのレイヤごとにシステムと人や場所が担う機能を定義し、その上でシステム全体を整理していきます。
教育者が行っている活動を4象限にわけ、それぞれの活動ごとにシステム機能を整理していきます。
こうやってしっかりと研ぎ澄ませた設計ができれば、eラーニングはリアル教室で行う教育よりも学習効果が高く、感動する学びが生まれ、仲間ができる、最高の学習体験が提供できる仕組みであると思っています。
とあるeラーニング大学のeラーニングをご支援したときですが、開学を迎え、私自身も授業を数科目履修してみました。その当時eラーニングだけで卒業できる大学は世界にもほぼ無く、本当に4年間もの間、eラーニングだけで学び続けるほどの継続したモチベーションが湧くようなシステムが作れたのかどうか確かめたかったのです。授業に参加すると、学友たちは数ヶ月もしないうちに仲良くなり、科目の内容についてディスカッションをするようになっていました。あるとき教授が風邪を引いて休講になったとき、システムのチャットルームでは「えー。残念。先生いなくても学生だけでもディスカッションしようよ」と予定時間ずっとシステムの中で専門テーマについてディスカッションしたりしていました。また、ある地方の県の学生たちが時にはということで、ある駅前の喫茶店で集まってオンライン授業に参加することもありました。そして、それを聞いた教授がなんと、私もこんど行きます!となり、数カ月後には教授もその喫茶店に集まった学生とともに喫茶店から授業を配信したりといった・・・とても熱い授業が繰り返されていました。
結果、4年後には通学制大学ほどではないけどそれに近い4年卒業率で学生が卒業し、卒業式ではかけがえの無い学友と一度は会いたいということで多くの学生がリアルの卒業式に全国から集まり、初めてリアルで対面した学生同士で泣きながら抱き合ったりする感動の卒業式をいまでも鮮明に覚えています。
マイケル・マクルーハンのメディア論の代表的な著書「グーデンベルグの銀河系」の中では、テレビとラジオでは、どちらが心を揺さぶる「ホットメディア」なのかという問いに「ラジオ」であると論じられています。
絵や動きという情報が無い意味で不利なラジオは情報量は少ないかもしれないけれど、実は研ぎ澄まされた内容が伝わり、感動を呼ぶというのです。確かに私たちも文字しか無い「本」によってでも強い感動を覚えるわけです。
その意味で、eラーニングは確かに触感も匂いも風や質感も届きませんが、しっかりと教育における意識の流れを設計し、学習者の扱いやすい操作、知識レベルに応じた反応などを「研ぎ澄まして」設計すれば、最高の学習体験を安定品質で提供できる優れた仕組みだと信じています。
私たちデジタル・ナレッジの全スタッフは、お客様である教育機関さまの教育をテクノロジで届けるこの仕事を愛し、この仕事を使命として取り組むことを、社員哲学「グリーンブック」で日々意識をあわせています。
30年の間、eラーニングに取り組んできた私たちは、その教育研修機関様に与える価値をもっと大きくしたいと日々考えています。
その中の1つが「教育をもっと多くの人に届けられる(教育流通)」という価値です。時間と場所に制限がなくなるわけですから、今まで学習者になりえなかった方々にも教育を届けられるのです。
例えば、海外です。日本の教育は世界で高い評価を受けており、日本語という壁自身もAIにより下がろうとしている中、「海外」も教育を届ける対象になってきています。私たちは、お客様である日本の教育研修機関さまの教育を届けるキャンパス拠点を海外に設置し、ファシリテーターが支援しながら、日本からのeラーニングを受講してもらうといったプロジェクトもはじめています。
https://www.digital-knowledge.co.jp/solution/global/jdu/
これは数あるチャレンジの一例ですが、デジタル・ナレッジは今後も、お客様である教育研修機関の教育をより豊かに効果的に隅々まで届ける、「学びの架け橋」を使命としてチャレンジを続け、教育研修機関様のお役に立てる価値をどんどん追求していきたいと思っています。
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