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JMOOCがやってきた

皆さん、こんにちは。ヒゲです。

週末は法事のため実家のある福岡に帰省していたのですが、三歳になる姪っ子が七五三を迎えるので、せっかくだからみんなで写真を撮ろうとデパートの写真館に出かけました。

昨今はスタジオアリスの影響なのか、どの写真館も子供の笑顔や目線を取るのに全身でオーバリアクションを取ったり注意を惹きつけるようで、いやはやすごいハイテンションな撮影でした。

その後、大人たちが写真を選んだりするのを退屈してた姪っ子とずーっと遊んでいたのですが、二児のパパである私にとっては日常的にやっているので手馴れたものです。
出来るだけ周りに迷惑をかけず、かつ姪っ子も喜んでくれるように遊んでおりました。
すると、写真館の方が私に「学校の先生ですか?」とたずねてきました。
(これまで、オペラ歌手? と訊かれたことはありますが、学校の先生と言われたのは初めて)

いやいや、ただ、同じぐらいの年の娘たちがいるので、慣れているだけですよ
と答えましたが、実は、そんなに外れてはおりません。
というのも、この秋から、大学講師デビューをいたしたのです。

ひょんなことから声がかかり、
東洋学園大学で「情報通信業界で働く特講」という講座を担当しております。

これまでもセミナーや講演などで人前で話すことはまあ結構ありましたが、大学の授業をフルに持つのははじめての経験です。
私はeラーニング屋さんですので、実際に学生相手に授業を行うというのをやってみて、どういう感じなのか、課題はあるのか、というのを体感したいというのもありお引き受けしました。

90分の授業にあわせてPowerPoint資料をつくっておき、学生相手に話をしております。
10人程度と少人数なので、全員の顔を見ながら話ができるし、ときどき学生を指名して考えや意見を求めたりしていますので、比較的やりやすいです。
ただ、私が詰め込みすぎる傾向があり、授業の終盤は毎回バタバタです。
こういうの、本職の先生はちゃんとなさっていてすごいなぁと思う次第です。
今日も夕方に授業があるので、大学に行ってきます。

さてさて、閑話休題

今回はそんな大学に関連した話題。
大学の授業配信の変革のひとつ、JMOOCの紹介です。

MOOCsって聞いたことありますか? 最近NHKのクローズアップ現代でも特集が組まれたりしたのでごらんになった方も多いかもしれません。

MOOCはMassive Open Online Course
 の略でして、スタンフォードやMIT、ハーバードなどのアメリカの一流どころの大学が、講義の映像や資料をネットで原則無料で公開しています。つまり、世界中の人が、ネットにつながる環境さえあれば、誰でも一流大学の講義が受けられるというものです。

MOOCsにより世界全体の知識レベルが上がるということもありますし、大学側からすれば知名度向上や、優秀な学生を世界中から青田買いできるというメリットもあり、世界の主要な大学がこぞってこの動きに乗りつつあります。

MOOCsの主な提供元はスタンフォード発祥のCoursera、MITやハーバード発祥のedX、主にコンピュータサイエンスのUdacity、その他にもAppleのiTunes UもMOOCsのひとつといえるでしょう。
(この仕組みをMOOCsと複数形になっているのは、これら提供元が複数あるからです)


日本の大学で言いますと、東京大学はCourseraに、京都大学は
edXに参加しております。

ただ、これらMOOCsって、授業が全部英語なんですよね・・・
MITやハーバードから配信される内容も当然英語なわけですし、東大や京大もしかりです。

日本の学生や学びたい人には、英語で授業を受けるのはかなりの苦痛(苦行/ちんぷんかんぷん)でしょう。


そこで、日本は日本で、このMOOCの考えを広めて、各大学の授業を配信しようじゃないか、という動きが現れました。そうして今月、日本版MOOCsであるJMOOCが発足したのです。
(JMOOCのJはJapanです。ご推測どおり)

JMOOCにより、大学の質の高い講義が収録され、このアーカイブが公開されます。

これにより、受講者は質の高い「日本語での」授業をいつでもどこでも受けることができます。

大学生が(単位互換制度などを利用して)他大学の授業を受けることもあるでしょうし、中高生が前もって大学の授業に触れる機会もあるでしょう。専門的な知識を身につけるだけでなく、自分の入りたい大学の講義を事前に受けることで、大学での学びのイメージが湧きやすいですし、目標設定をするのに役立つかもしれません。
働きながら学びたい人にも朗報です。学校に通わなくても自宅や外出先などで学ぶことができますし、自己実現のために学ぶことがしやすくなるのではないでしょうか。
退職した人がもう一度大学で学びなおすということも比較的しやすくなるでしょう。若いころには学べなかったこと、今だから感心があることを改めて学びなおすのは豊かな人生を送るのに必要だと思います。

大学側としては、知名度向上や学生の確保といったパブリシティ効果もあるでしょう。
そもそもの対面授業においても、学生が事前にJMOOCの講義を見て授業に臨み、授業中は事前講義を見た前提で課題にあたったりディスカッションを行うという、いわゆる「反転授業」を行うインフラとしても使えます。

先々、アジアをはじめたとした世界中へ配信することで日本の大学の学びが広がり、また留学生を呼び込みやすくもなるでしょう。

企業としては、従業員の研修としてJMOOCのコンテンツが使えるというのもありますが、人材確保として、その企業に関連する講座を学ぶ人に採用活動を行うこともできるかもしれません。

これら、新たなパラダイムが生まれる可能性をJMOOCは秘めていると思います。

既に多くの大学が講義配信を予定しており、実際のJMOOCの講義は来年春からスタートします。

弊社もJMOOCの正会員として、活動を支援していく所存です。
各大学さんを支援するプログラムも計画中で、近日中にリリース予定です。

ぜひこのMOOCs/JMOOCの動きに注目ください。

■参考サイト:JMOOC  http://www.jmooc.jp/