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eラーニングのコンテンツの変遷

皆さん、こんにちは。ヒゲです。

6月に入り、東京でも雨の日々が続いております。
じめじめするし、傘差さないといけないので嫌だなーと思っていますが、
ふと周りを見回すと、公園や植え込みのあちこちに「あじさい」を見かけます。
あじさい
上の写真は週末子どもを連れて近所の公園に遊びに行ったときに見つけたあじさいです。
つい数日前までは葉だけだったのに、いつの間にか花が咲いていました。
あじさいはリトマス試験紙のように土壌の酸性・アルカリ性で色が代わると聞いたことがありますが、
実際にはもっと複雑なメカニズムで決まるらしいものの、その論理でいうと、ここの土壌は酸性のようです。
雨の中、ふと足をとめて見るあじさい、この時期ならではの風物詩です。
さて、今回はeラーニングのコンテンツについて思うところ。
ここでいうコンテンツは「テスト」や「ドリル」といったOUTPUT学習ではなく、説明や解説で使うINPUT学習の教材に限定します。
ざっくりですが、eラーニングのコンテンツは形式/作り方で大別すると4つのパターンに分かれる気がしています。
それぞれのパターンと概要について下記にまとめてみます。
  1. 資料アップロード型 ・・・ 紙テキストを電子化したり、WORD/PowerPointなどの資料をそのまま電子化して配信するだけというもの。近頃は「ペーパーレス」という言葉で広がっている感はある。重たくてかさばる紙や冊子を持ち運ぶ必要はないし、整理されインデックス化された情報にはアクセスしやすいし、全文検索で知りたい情報を抽出できるなどのメリットはある。作成するのも最も手軽な方法のひとつといえる。
    ただ、メリットは物理的なものとアクセス性の向上だけで、コンテクストそのものの表現力が向上したり伝わりやすかったりするわけでなく、これだけで「eラーニングコンテンツ」と言うのはちょっと躊躇われる感じがするのも事実。
  2. テキスト修飾型 ・・・ 上記の資料にプラスアルファの様子を組み込んだもの。たとえばテキストを音声で読み上げたり、書き込みやアニメーションを使って説明したりすることにより、文字情報だけでない説明や解説を加えている。作り方によっては単なるテキストと混在させ、分からないところだけ解説を聞くなどの学習ができる。普段は学習をテキストで進め、分からない部分だけを解説をきけるので効率的に学習が行える。逆に言うと、学習の時間軸のコントロールは学習者に依存しているため、受講者の能動的な学習を必要とする点は、あとに出てくる手法より学習のハードルが高いといえるかもしれない。
    たとえて言うなら「基本的に自習だが、分からないところを丁寧に教えてくれる」という感覚。
    (弊社商品でいうと(昔の商品ですが)”InstructNow!”がこれにあたります)
  3. ストーリー型 ・・・ キャラクターが登場し、スライドやアニメーションを用いて説明してくれる形式。TVアニメを見ているような感覚といえば分かりやすいかもしれない。その見た目の分かりやすさから子供向けコンテンツで利用されるのはもちろん、様々な階層の多くの人が受ける企業内研修でも、たとえばセキュリティ保護やISO取得など全員が受けなければならない教育で使うこともある。音声やアニメーションが入っているが、企業内で教育する場合にはPCで音を鳴らすわけにはいかないからと、横にナレーションのテキスト原稿を表示するのも形式としては固まっている。多くはFlashで作成されている。
    分かりやすいが、シナリオ書きや絵を描いたりムービーを作ったりするのが結構手間がかかる。1つのコンテンツで多くの様々な階層の人が受講したり、できるだけわかりやすく教材を提供しようという場合には今も採られる手法。
  4. 講義再現型 ・・・ 講師が授業を話してる様子をそのまま再現しようというもの。動画全体にスライドや黒板を模した画面を用意し、右上もしくは左上に小さめの講師の映像を配置、講師が小さな映像で話をして、その間の黒板や指差しの様子を画面上で再現するというもの。この形式は長らくスタンダードのひとつとして幅広く使われており、各社からこの形式で教材が作成できるツールがたくさん出ております。講師の講義をそのまま収録でき、表現力も講義と同じなので、わかりやすく、つくりやすく、導入しやすいというメリットがあります。
    (弊社商品でいうと”SeminarNow!“や”KnowledgeDeliver“のオーサリング機能が該当します)
  5. (4の流れとして)動画収録型 ・・・ 近年は、上記「講義再現型」をさらに進めて、動画で先生だけでなく黒板などの授業そのものを収録してコンテンツとしようという動きが進んでいます。ここ数年で弊社の各お客様のコンテンツを見てますと、この動画形式が過半数を超える勢いです。今最も多用されているコンテンツの例です。「講義再現型」だと、講義を特別なオーサリングソフトを使って再現しますが、動画収録型ですと動画そのものを撮影するだけで済み、講師や教員の負担は実質ゼロ、普段どおりに授業をやるだけという手軽さです。また、マルチデバイス対応が楽というのもありますが、これは後述します。
    (弊社商品でいうと”Video+“が該当します)
上記のように、ひとことでコンテンツと言っても様々な形態がありますが、
特に最近多いのは「動画収録型」の利用です。
上の図の左の図、これが「講義再現型」のコンテンツです。ちいさめの映像と、映像に連動したスライド、スライドに上に書き込みや指などのアニメーションが動くものもあります。
これにかわって最近多いのが右の図「動画収録型」です。一目瞭然、講義の風景をそのままカメラで撮影したというもの。
上段で触れたように、近頃は「動画収録型」が圧倒的に多く、ぞくぞくと増えています。
その背景を少し考えてみますと・・・・
  1. ブロードバンドの普及 ・・・ ブロードバンドが普及し、小さい動画でなく大きな動画で配信し、それを各受講者が受信できる環境が広まった
  2. 手軽さ ・・・ 「講義再現型」だと、簡単とはいえ講師がオーサリングソフトで編集したりする手間があったり、電子黒板などの普段とは違うデバイスで授業を行う必要があり、手間やお金がかかるので、動画で一発撮ったほうが楽
  3. マルチデバイス対応 ・・・ 近年、eラーニングの受講環境はWindows PCだけに留まらず、MacintoshやiPad/iPhone、Androidなど、様々な端末(マルチデバイス)に広がっている。たとえば広く使われているFlashはiPhone/iPadでは再生できず、独自形式で作ったものだと各端末にあわせてプレイヤーを作るのも大変。一方、動画はフォーマットさえ調整すればすべてのデバイスで再生できるため楽。
  4. PCで動画を見るカルチャー ・・・ 以前はパソコンで動画を観るというと抵抗を示される人も多かったが、YouTubeやUstream、ニコ動などの動画配信サービスが爆発的に広まり、むしろ動画をテレビじゃなくてパソコンなどの端末で観る人が出ているくらいの普及ぶりで、パソコンで動画を見ることに抵抗を示さない層が増えた。
  5. 東進さんの影響 ・・・ 全国各地に教室を設置し、講義の映像を配信することで授業を提供している東進さん、TVコマーシャルでも認知度は高いが、合格実績も着実につけており、映像コンテンツでの教育力の高さを証明している。これにより動画収録型のコンテンツの学習効果が担保されたともいえる。
上記のような様々な理由から、近年は「動画収録型」がものすごい勢いで普及しているんだと考えます。
デジタル・ナレッジとしての「動画収録型」のソリューション”Video+“も発売以来たいへん好評で、リリース後2ヶ月で早くも実利用のお客様がぞくぞくと出てきております。
「動画収録型」にご興味のある方は是非一度チェックしてみてください。
ちなみに、個人的には「テキスト修飾型」や「講義再現型」の教材も大好きです(笑)ので、こちらも是非、ご一緒しましょう!