「AIリテラシー」はこれからの社会の必須スキルとなるか?② 展示会でAI導入について尋ねてみた

By | 2018年7月4日

汗だくになる季節ですね! 今日は帰り路に、冷感素材のタオルケットを買いに行こうと心に決めている「研究員・岡田」です。

 

そんな暑い中、東京・有楽町にある国際フォーラムに行ってきました。ちょうど、「ラーニングイノベーション」(http://expo.nikkeibp.co.jp/li/2018/)と「ヒューマンキャピタル」(http://expo.nikkeibp.co.jp/hc/2018/)という展示会が行われており、その中でのいくつかのセミナー聴講とブース展示を見に行きました。

もちろん、 弊社デジタル・ナレッジもブース展示およびセミナーをやっておりますので、お気軽にお越しください!

 

見て回ると、やはり多くのブースでAIという言葉が掲げられていますね!セミナーもAIはいくつかあります。

個人的に気になったのは、「AI秘書」!! 橋本環奈ちゃんがイメージキャラクターに選ばれています

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※こんな秘書が欲しいですね!

 

さて、真面目な話! こういう展示会で「弊社のサービスではAIを用いて~~」という口上が多く聞かれます。

そこで「へ~!AIが使われているんだねえ」と素朴に反応するのも良いのですが、ちょっとAIリテラシーを行使してみましょう。

 

ブース担当者に次のことを訊いてみてください。

・業務の中の、どの部分をAIが担っているの?

・AIのどのような技術を使っているの?

・参照されるデータはどのように取得しているの?

・これはAIを使わなくてもできる業務ではないの?

本来、このあたりの事柄は、AIを導入する際に必要になってくる要件です。

後で、AI導入のポイントについて整理しますが、これらの質問に素直に応えていただけると今後のビジネスに信を置けるのではないかと思います。

2例、私がある会社さんのブースで質問したことを挙げます。

 

【A社さん】

人事異動の際の部署とスタッフのマッチングをAIで行うサービス。

人事異動

(岡田)「マッチングの際に、何かが基準になっていると思いますが、そのデータはどのように収集していますか?」

(A社)「自己申告のスキルチェックの項目を集めます。スキルや関心などです。」

(岡田)「マッチングの根拠は?」

(A社)「部署ごとのハイパフォーマーの方をモデルにして、その方々がどのようなスキルが高いのかを元に、それに近い人をマッチングします。」

(岡田)「部署ごとに業務の特質が違うと思いますが、例えば技術部の人が営業部に異動となる際、技術部にいた在籍期間で取得できるスキルデータから営業部にふさわしいということは言えるのでしょうか?データの偏りはないですか?」

…といった具合です。名誉のために書いておきますが、この後もしっかりお答えいただきました。ただ、「AIがマッチングしている」というよりも、人事異動の意思決定をする担当者(人間)のために、社員・スタッフのスキルをクラスタリングしている、という技術であり、「人事担当者支援」であって、AIがジャッジしているわけではないですね。誤解は受けやすいかと思いました。もっと言うと、タグ付けされている項目数が少なければ、普通にExcelでクラス分けすることでも対応ができます。大企業やこのタグが多くなってきたり、eラーニング(社内研修)や普段のデジタルデバイスの利用や業務などの「学習履歴」「業務履歴」「行動履歴」が多くなった場合には、効果を発揮するでしょう。

とはいえ、人事ですので最終的な判断はやはり責任者が責任もってやるべきですね。

 

【B社さん】

営業先との打合せの中で、それぞれの発言がどのような文脈・論理構造になっているかをAIが可視化するサービス。

人事

(岡田)「どのように会話したらいいかをAIが教えてくれるのですか?」

(B社)「いいえ。AIが教えてくれるのではなくて、AIが会話の文脈や論理構造から会話のフローを見える化してくれます。」

(岡田)「用意するデータは映像ですか?」

(B社)「映像でもいいですけれども、音声データがあれば大丈夫です。」

(岡田)「見える化の際に、どのような機能をAIは担っていますか?」

(B社)「音声から二人の会話をテキスト化します。また、テキスト化したデータから、会話フローをタイムライン上で分類します。」

(岡田)「ということは、①AIが発話者を特定、②音声をテキスト化(Speech to Text)、③キーワードなどのテキストマイニング機能で発言をタグ付け、ということをAIがしている、ということですか?」

…といった感じです。当然、この後も質問をさせていただきました。最後の岡田の発言からも分かるように、このサービスを成立させるためには、AIの機能を少なくとも3つは利用しているわけです。疑問も残ったのも事実ですが、ちゃんと答えてくれるところに好感は持てました。ただ、デモができない…というのは…

社内研修の一部をこのサービスが担う、という「部分的支援」であることも誤解されないようにしなければならないですね。

 

このように、展示ブースで一方的にプレゼンしてもらうのではなく、自ら質問していって、自分の頭で理解するというのも楽しんでみてください。

では、最後にAIを導入する時のポイントを整理しておきます。

 

当然なのですが、教育であれ研修であれ業務であれ、従来人間が行ってきたことをAIが行う場合、その業務を「再現できる」ことが重要です。「AIが俳句を詠んだ」とか「AIが絵を描いた」ということがニュースになりますが、再現性がなかったり、社会的にどんなものが提示されても問題が起こらないことやエンターテインメントであれば、AIがどのようなものをアウトプットしてこようと、リスクにはなりません。再現性がなかったり、たまたまであっても、それを面白おかしく笑えるのであれば問題はありません。

しかし、ビジネスや人の育成に関わることとなると、「たまたま一致した」というようなアウトプットではリスクがありすぎます。AIがブラックボックスであり、中での演算が良く分からなくても(本質的には人間の頭の中もブラックボックス)、一定の再現性のあるアウトプットができれば活用ができます。

そのためには、以下の点は必須です。

要素

※弊社セミナーでの資料の一部

 

 1.業務・学習の「どの部分」をAI化するのか決める

以前のブログでも書きましたが、例えば業務に「英文添削」というものがあったとして、それがどのような部分から成立しているかを明確に細分化した上で、AIに任せる必要があります。

添削を細分化すると、その部分として「評価」があります。評価の軸も多岐にわたります。内容・語彙・文法など。

私たち人間は何気なく業務を遂行していますが、一つ一つをつぶさに見ると、結構多種の能力や機能を使っていることが分かります。プログラミングやある機械をつくる際に、それはより明確になります。例えば、私たちがトイレメーカーだとして、温水洗浄便座を作っているとしましょう。トイレのその便座にどんなセンサーを付けて、どのように反応するように設計するでしょうか。「用を足す」という一言、「洗浄する」という一言には、それをしっかり再現するための細かいフローが連続的にかかわってきます。その中のどこにどんなセンサーを割り当てるのかと同様に、自社サービスや業務を細分化して割り当てるという整理をしてみましょう。

 

2.業務・教育ノウハウをもとにしたデータ・ルールの準備

意外なことに、AIが動くためには事前にデータがないといけない、ということが知られていません。AIは確かに学習(データからルールを抽出)しますが、学習機会がないのに何も考えられないのと同様、最初に学習するためのデータが必要です。できれば、ルールがあるとより確実に動きます。

どんなデータでもいいのかというと違います。人間によってなされていた業務をAIに任せるのであれば、まず他の人間でも再現ができるようにノウハウを明確にする必要があります。特定のハイパフォーマーにしか再現できないことであっても、その人が一定のノウハウを持っているのであれば、それに基づいたデータを用意し、それをAIが再現できるようにチューニングすることができます。

その意味で、AIについて知る前に、自らの業務についてより深く知り、ノウハウを明確に磨くことこそ必要なのではないかと思います。数学学習用AIをサービス化しているCOMPASSの神野社長がおっしゃっていましたが、「教育メソッドが教師の中で確立していなければAIはできない」。その通りだと思います。

 

3.検証とチューニング

実際にAIを導入しても、導入したら終わりではありません。新入社員でも同じですね。採用して終わりではありません。育てること、本当に役立っているのか評価することは継続的に必要です。

 

もし、御社も『AIを導入できないか・・・?』とお考えの際には、AI開発会社に相談するのもいいのですが、eラーニング会社に相談してみてもいいかもしれません。一つ一つの会社・組織に合わせたeラーニングを提案してきた実績から、御社だけの業務フローを客観的に細分化して、提案ができるかもしれませんよ。