AIイベント報告:「英語4技能」時代の教育~教育現場を支えるAIの可能性~

By | 2017年11月22日

街を歩くと、もう一か月後に迫ったクリスマスの装いとなり、ワクワクした気持ちになってきますね。

イルミネーションを見ながらナイトウォーキングするのが趣味の岡田健志です。時々、夜中に表参道や代官山あたりを歩いています。

現在、デジタル・ナレッジでAIツール「トレパ」の開発などの業務に携わっています。新しい技術を使って、どのように教育が変わっていくのか・・・そんなことを考えて実行するのが何よりワクワクしますね!これからも、時々ブログを更新しますので、よろしくお願いいたします。

さて、前回のブログから約一カ月が過ぎました。その間に、弊社では様々なイベントや展示を行いました。その中でも、実施側ながら企画・運営にワクワクしたのが、11月9日に秋葉原UDXで行いました『「英語4技能」時代の教育~教育現場を支えるAIの可能性~』です。

本日は、この11月9日のイベントについて簡単に報告します。
会場のキャパシティから、定員は150名でしたが資料のみの請求も含めると200名をこえる方々から申込みがありました。「英語4技能」「AI(人工知能)」というテーマについての関心の高さが伺えます。

基調講演は、2名の先生にお願いをいたしました。
英語教育の権威である慶応大学の田中茂範教授。そして、ゲームAI設計者の三宅陽一郎氏です。

このイベントの趣旨を説明するのに、イベントの告知内容として三宅先生が弊社サイトに寄稿していただいた文章が適していると思いますので、引用することから始めます。

人工知能の最大の特徴は、人がコンピューターに寄り添うのではなく、コンピューターが人工知能を通して人に寄り添うところにあります。
これは教育においては、それぞれの人間に合った教育を、人工知能を通して実現する可能性を持つことに他なりません。しかし、人工知能が人間をきちんと理解するようになるまでには、更なる研究が必要です。また人間自身にも、人工知能とは何かを知る教育が必要です。これからお互いが歩み寄ることで、人工知能と人間が教育を変えて行く時代が、ゆっくりと、しかし確実に到来することになるでしょう。
そこには、また、人工知能と人間のコミュニケーションのあり方、対話のあり方が問われることになります。「人工知能は適用範囲が限られれば限られるほど優秀になる」という性質があり、それぞれの学習項目に対する多様なアプローチが考えられます。そこで今回は、人工知能が未来に描く教育の未来像を描いてみたいと思います。

この文章をいただいた時に、率直に「深いなあ~」と感嘆しました。

細かく論じる紙幅はありませんので、簡略化すると、注目すべき論点は3つだと思います。

  • (A)それぞれの人間に合った教育をAIを通じて実現
  • (B)AIが人間を理解する研究が必要
  • (C)人間もAIとは何かを知る教育が必要ということです。

田中先生の基調講演では、上記の(A)の部分について、図らずも語っていただきました。
田中先生の論点としては、以下のようなものがありました。

  • このグローバルな時代に「英語のネイティブ」ということはナンセンス。

イギリス・アメリカの話者も世界的規模で見れば、英語を話す人の一部でしかない。

  • 英語学習では、学習を自分事にできるかどうかが鍵。「今、ここ、自分」がキーワード。
  • デジタルでの学習は学習ログを取れるという、従来にはなかった価値がある。

などの事柄でした。

英語学習の基準が「どこか遠くの外国」にあるのではなく、自分事としての英語学習、つまり「My English」の提唱でした。伝えたいことがある、理解したいことがある・・・そこには常に「自分」がいます。確かに、「いつか使うだろう」「誰かがいずれ評価するだろう」というような動機では英語学習は進みません。これは、教育界の大きな流れである「Personalized Learning」をICTの技術を使って実現することと大きく重なります。

これからの時代、画一的な指導ではなく、受講生が主体的に「自分事」の学習ができるような支援をしていくことが重要であり、改めてデジタル・ナレッジが邁進すべき方向性を示していただいたように思います。

次に登壇されたのが、三宅先生です。人工知能研究および実装の最先端におられる視点から、AIは適切にセグメント化することで最大限の効果を発揮することを示していただきました。

どうしても、AIについての話題になると、「シンギュラリティ」や「汎用人工知能」の話題になりがちです。しかし、実際にAIを実装する視点からすると、「どのようなところで、どのような機能を実装するか」という設計思想こそが重要になります。まだまだAIは一つずつのパーツにすぎません。それをいかに組み合わせていくかが、ポイントになります。

そのような状況を端的に示したのが、冒頭に引用した文章です。

ターミネーターのように人類を脅かすような存在ではなく、ドラえもんのように人間に寄り添うようなAIを、人間がデザインしていくことを考えたいですね。お二人の先生にお話しいただいた後、弊社から吉田と岡田による話が続きました。
吉田からは、デジタル・ナレッジが進めている最新テクノロジの話を。

今回のイベントの聴講者の方々の関心は「英語教育」や「AI」ということでしたが、意外にもLMS(Learning Management System)などのeラーニングの本筋の方にも関心を持っていただけたということが印象的でした。当然なのですが、AIなどの最新技術を活かすためには、基礎的なeラーニングのシステムのノウハウが必要です。AIやVRなど、どうしても最先端の技術が目立ちますが、それを活用するノウハウ・技術の蓄積があってこそ、実地の教育に寄与することができると思います。

岡田からは、先生のための「英語4技能」対応授業実現 AIツール「トレパ」の紹介をしました。

「トレパ」の詳細については、前回のブログで紹介していますので詳細は割愛します。
新しいツールが生まれると、教育者・指導者はそれを活用することが求められます。これまでの教育の歴史もそうでした。
口承での伝承の教育と、鉛筆などが出来た後での文章による教育、映像メディアを使った教育・・・実は教育もそのツールによって様変わりし、教師と言われる方はその度ごとにそれぞれスキルアップされてきました。

先生のための「英語4技能」対応授業実現 AIツール「トレパ」その意味で、三宅先生が書かれているように、AIをどのように活用して教育に活かすか、AIを活用するのに適した教材の作成ノウハウ、などが今後は議論されていくでしょう。

それは、人間側がAIを理解していくことに他なりません。すべてをAIに任せるというのではなく、AIを人間が使いこなすことが求められていると思います。

デジタル・ナレッジとして、AIという技術を使いたいというのが目的ではなく、「アウトプット型トレーニングの機会を増やしたい」という社会的課題への「一つの解」として、AIの可能性を皆さんと今後も考えていくイベントを開催します。楽しみにお待ちください。

最後に。

今回、多くの方に「トレパ」のデモを体験いただきました。至る所で英文を発音する方々。とても活気がありました。
思えば、私たちが中高生の頃、英語の授業でこんなに個々の生徒がスピーキングのトレーニングをしていただろうか・・・と思い返しました。皆さんがトレパに向かって口々に英文を発話されているのを見て、この風景が全国の教室に広がることはそう遠くのことではないな、と少しホッコリしました。