小学生から学ぶ『AIリテラシー』 ~加藤学園暁秀初等学校でのトレパ活用授業から~

By | 2018年11月25日
めっきり寒くなりましたね。
三連休は皆様いかが過ごされましたか?
我が家の隣は小さな公園なのですが、そこの木々が紅の彩りを増して、ふと連休中にも関わらずこのブログを書いている研究員・岡田です。
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創作意欲ではないですが、風景が良いと何かしら文章を書きたくなるのは何故でしょうね?

 

岡田はますます様々な方々と会う機会が増えていて、人に会い、話し合う度に、自らの無知を知ることが多いです。

本当に、知らないことは世の中にはたくさんありますね。

 

今日は、「ある出会い」から生まれた取り組みについて書いてみたいと思います。

それは、2018年11月3日に東京・内田洋行CANVASで行われた『日本アクティブ・ラーニング学会』(http://jals2030.net/)の総会でのことでした。

デジタル・ナレッジも日本アクティブ・ラーニング学会の賛助会員でして、この度は総会に参加してきました。

その中で出会ったのが加藤学園暁秀初等学校(http://www.katoh-net.ac.jp/Elementary/)の中原先生です。

 

中原先生とは懇親会の際に名刺交換をしました。そこで、『トレパ』(https://torepa.jp/)を紹介したのです。

岡田『英文のテキストデータさえあれば、5秒でリスニング教材ができるエディターです』

と『トレパ』について紹介しました。中原先生の素直に感動された表情が今でも忘れられません。

 

AIで英語をトレーニングするシステムは他にもありますが、先生自らがエディットできる、というのはなかなかないコンセプトだと思っています。

ここで、中原先生が「今度、うちの学校で小学生が自分で英文レターを書くという授業がある。そこで使えないだろうか?」とおっしゃいました。

即座に『トレパ』の特ちょうを鋭く理解していただき、適切な活用場面を考えてくださりました。しかも、なんてタイムリー!!

 

余談ですが、こういう「タイムリー」な出会いって時々ありますよね?

それぞれが同じような課題を抱えている。あるいは、それぞれが同じような領域について今まで考えてきていた。そんな両者が出会った時に生まれるコラボレーション! この時しか生まれないものです。どちらかが一歩遅かったり、どちらかが情報不足だったりすると、このコラボレーションは生まれません。

 

その後、何度かやりとりをしながら、授業は実施されました。その報告がこちらです。(←クリックしてください。)

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今回の授業でのポイントは3つあると思います。

(1)生徒各自が自分だけの英文(手紙)を書く。その内容をリスニング教材・スピーキング教材化する。

(2)小学生がリスニング・スピーキングを「楽しんだ」。

(3)同時に、「AIとは何か?」について学ぶ。(AIについてのリテラシー教育)

 

今回、(1)に加えて(3)について実施したのは、中原先生をはじめ加藤学園暁秀初等学校の先生方のファインプレーだと思います。『シンギュラリティ』の話を鵜のみにして語る方は多いのですが・・・実際、AIを使ったサービスを使ってみたことがある大人はどれくらいいるのでしょうか?

PCを触ったことない人がセキュリティ対策について語るな!という論調がありますが、同様に「自分たちでAIサービスを使ってみる」という姿勢こそ問われてくるでしょう。

自分でエディットして使えるAIツール『トレパ』を身近に置きながら、AIリテラシーについての授業展開をするというのは非常に合理的です。どこが人間と似ていて、どこが違うのか。それは使ってみてはじめて分かるものだと思います。

たびたび私がこのブログの中で主張しているのは、「AIを知ることで、人間の能力(の凄さ)を知る」ということです。

 

この子たちは、将来、AIを使いこなす「姿勢」が身についていくものと大いに期待できます。この取り組みを実施しようとした先生方の慧眼には恐れ入ります。

 

また、(2)の部分も重要です。

よく『トレパ』を紹介すると、「これは評価が厳しすぎて、子どものモチベーションが下がる可能性がある」というお声を頂戴します。

その可能性は否定しません。

しかし、一方で、実際に使っている小学生たちが『トレパ』の取り合いをしているという報告もよく聞くのです。

これは何故なのでしょうか?

もちろん、それぞれの集団の体質・風土や個性という問題もあるでしょう。もしかしたら、英語の習熟度も関係しているかもしれません。

しかし、私がこれまでお話を聞いていて、以下の2点が重要なのではないかという仮説に至りました。

【A】小学生の方が発音に関しては柔軟性を持っている

【B】自分で作った英文に関しては、発音を良くしたいという動機づけが強くなる

 

【A】に関しては、実は、大人が心配するよりも、子どもたちの方が柔軟性があるのではないか、という指摘をしたいのです。ICTについてと同様です。大人は、「タブレットとか導入して、本当に生徒は使うのか?」と心配する向きもあるそうですが、実際にはちゃんと指導すれば生徒は使います。同様に、「これがネイティブスピーカーの”耳”と”口”だよ」と紹介すれば、一生懸命に聞き、発音するように動機づけることは可能だと思います。

【B】については、もっと重要です。

先日、eラーニング・アワード2018フォーラムで、元・慶應大学教授の田中茂範先生がおっしゃっておられましたが、「自分ごとの英語」でないと、本当に生徒は学ぼうとしません。つまり、教科書などで「身近に感じられない」「自分の関心から遠い」英文で学習しようとしてもダメなのです。

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生徒にとって、自分が生み出した英文以上に「自分ごと」の英文は存在しません。

『このレター(英文)を届けたい!』

『(そのために)伝わる発音をしたい!』

『(そのために)正しい発音を知りたい!』

というモチベーションを発揮させるためには、手間は掛かりますが生徒一人ひとりが英文をつくり、それを教材化していく活動が最も効果的だと言えます。

これは、前回のブログで紹介した大阪府立箕面高校の森田先生の授業展開とも重なります。(https://www.digital-knowledge.co.jp/blog/archives/3570/

 

この点では、エディターとしての『トレパ』の面目躍如たるところです。

 

最後に。

箕面高校と加藤学園暁秀初等学校の生徒さん達の振る舞いで「共通項」が見つかりました。

 

 

それは・・・

 

 

タブレットを持って、教室のすみっこで発音練習すること!

※こんな感じ

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箕面高校・森田先生曰く

『私には聞かれたくないけれども、AIには平気で話す』

 

これも、「恥ずかしいから」「先生の手間をとらせたくないから」という見方もありますが、ちがう観点から解釈すると、

既にモチベーションが高まっているので、自分で納得するまでやりきりたい!という内発的動機によるもの

=先生にあまり干渉されたくない

というようにも捉えられるのかな、とも思います。

この点については、今後の様々なご報告の中で明らかになっていくでしょう。

 

今後も、こんな素敵な実践報告が届くことをお待ちしております。

 

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https://sanka-miracon.jpeca.jp/2018/b201/

※ジョイズ株式会社・柿原社長、インターカルト日本語学校・矢口さん、日本大学高等学校・田中先生を招き、AIによる外国語教育について等身大の取組みを描きだします!