eラーニングの学習単位時間は短縮しているか?

By | 2011年1月20日

皆さん、こんにちは。ヒゲです。

昨日は新春セミナーということで、大勢のお客様にお集まりいただき講演しました。お集まりいただいた皆様、まことにありがとうございました。
限られた時間でしたが、eラーニングや教育ITの過去、近年起きたこと、そして今後の展望についてお話させていただきました。
第二部ではデジタルハリウッドさんの栗谷先生にご登壇いただき、今月から開始されるiPadを実際の授業で活用する講座『短期Webデザイナー専攻iPadクラス』にいたる経緯やこのクラスについての説明をしていただきました。
質問も活発に行われ、その後の交流会でも多くの方にお残りいただき、さまざまなお話をさせていただきました。いろいろなヒントもいただけたと思います。ありがとうございました。
別途このような場を設けさせていただきますので、是非またご参加ください。
また、当日の模様はオンデマンドで公開予定です。こちらも準備できましたらご案内します。
あ、ちなみにデジハリさんの『短期Webデザイナー専攻iPadクラス』ですが、まだ募集中ですので、ご興味のある方は是非!
さて、この会の中でもお話させていただいたのですが、最近「学習単位時間の短縮傾向」について考えてます。

毎日何時間も勉強する受験勉強はさておき、たとえば社会人が勉強するとして、一日にどのくらい勉強するのが適切でしょうか? 目指す目標や期間にも大きく差があるかと思いますが、一部の特殊な資格取得などを除いて、1~3時間というのが現実的なのではないでしょうか。
仕事を終えて帰って、食事やお風呂などを済ませて寝る前に勉強するとか、早起きして出勤前に勉強するとか、行き帰りの電車の中で勉強するとか、そうやってなんとかまとまった学習時間を捻出しようとしているのではないでしょうか?
でも、日常生活を送りながらまとまった学習時間を確保するのは、結構しんどいです。
我が身に置き換えてみても、継続的に時間を取るのは結構至難の技です。
そこで、というのかどうか分かりませんが、最近は学習時間を刻んで取る傾向がある気がしてます。
もともとeラーニングは長時間の学習にはあまり向いていないとされてます。
たとえば、本であれば1時間の学習でも何てことはないですが、パソコンに向かって学習する場合、集中力が切れるなどと言われてます。
弊社も、「教材は1コンテンツを15分程度で完了するぐらいに作るのがいいですよ」と言ってます。
これは、民法のテレビ番組でコマーシャルが入るまでの間と似ています。
このくらい(10~15分程度)で集中力の谷間が訪れるような感じがしてます。
ただ、一方でブロードバンド化が進み、動画コンテンツが多くなってきたこともあるのでしょうが、1時間から90分程度の講義をそのまま収録して閲覧してもらう、という趣旨のコンテンツも多くあります。
講義の雰囲気をそのまま伝えるなかなかいい教材で、根強い人気がありますし、人生を賭けるぐらいの資格取得のためであれば厭わないでしょうが、そうではない場合、いかんせん長くて集中力が途切れてしまうという問題も、まああります。
そこで、こういう動画は編集を加えて、10分~30分程度に刻んでおく、という方法もあります。
いずれにしても、長すぎるeラーニングコンテンツより、適切な長さのコンテンツのほうが学習しやすいとは言えるかと思います。
この傾向、最近ますます広まっているように思います。
ここからは推測ですが、いろいろなメディアや生活様式がある忙しい昨今、まとまった学習時間を捻出するのはますます困難になってます。
そして、精神的な傾向と言えるのかも知れませんが、まとまって勉強するのはハードなので、もうすこし簡単に効率的に勉強できないかと考える傾向があるようにも思います。
携帯電話の出現もこれに拍車をかけているように感じます。たとえば以前はまとまってパソコンでメールしていたところを、携帯電話の出現により、本文も短く頻繁にメールを送る傾向があるように思いますが、こういう活動が「まとまってがつん」より「小刻みにちょろちょろ」の傾向を加速させているように思います。
他の媒体でいうと、blogなどのWebによる情報発信に同じようなものを感じてます。
blogは手軽に文章や日記がWeb上で公開できると人気になった媒体ですが、blogはまとまって書かなければならないというのがあるため、結構ハードルが高いです。
やがてmixiなどのSNSが登場し、もっと手軽に日記を公開できるとして、さらにハードルを下げてきたように思います。
「かしこまって書かなくてもある程度垂れ流しでもいいや」といいますか、イージーさが強まったメディアです。
そしてtwitter、140文字という制限の中で「つぶやく」わけですが、なにせとても手軽につぶやけちゃいます。だから身構えることなく、今考えていること、感じていることを、そのまま出せるイージーさがさらに広まってます。
日々おきたことを一日の終わりにまとめて書く、ではなく、おきたときに書く、という感覚です。
人が利用するメディアがblogからSNSそしてtwitterに流れている感じがしてます。
たとえば私はmixiにもtwitterにもアカウントを持っているのですが、以前は友人のmixiの日記が毎日のように更新されてましたが最近は日記の更新はあまりなく、かわってtwitterでの情報発信が増えているように感じてます。
仮に、あるメディアmの1記事あたりの情報量をA(m)、発信頻度をN(m)とすると、そのメディアの情報量の全体量は、情報の重複などの条件を除外し、シンプルに言うと
A(m) × N(m)
となるでしょう。
さて、blog,SNS,twitterを比べると、
1記事あたりの情報量A(m)の関係は
A(blog) > A(SNS) > A(twitter)
であるのに対し、
発信頻度N(m)
N(blog) < N(SNS) < N(twitter)
になります。
ここまではそれなりに自明です。
そしてこれは推測含めてなんですが、各メディアの情報量の全体量を比較すると
    A(blog)×N(blog) ≦?A(SNS)×N(SNS) ≦?A(twitter)×N(twitter)
つまり、blog,SNS,twitterのそれぞれの情報量の全体量を比較すると、小刻みに情報発信するものと大きく配信するもののメディアに情報量の差はあまりなく、むしろ小刻みに配信したほうが情報量が多いぐらいなんじゃないか?
というのが私の推測というか実感です。
さて、eラーニングに戻りましょう。
上記から、トータル時間が同じ教材であれば、小刻みに刻んだほうが学習はしやすそうですし、人々はそれを求めている傾向があります。
これにより、1~3時間のまとまった時間を確保するのではなく、10分~15分の刻んだ時間で学習をする、これを日に何度も繰り返す、という学習の方法が今風なんじゃないかと思います。
フルコースを3時間かけて食べるんじゃなくて、合間合間に少しずつつまみ食いするみたいな感じです。
もう一つ付け加えると、小刻みに学習すると「おわった!」という成功体験が頻繁に味わえるし、徐々に進めていってゴールに近づいている感じが演出できるので、モチベーションもあがるように思います。
これもとても重要なことだと思ってます。
皆様もeラーニングを設計するときには、長尺のコンテンツを少量入れるのではなく、10~15分程度に刻んで食べやすい大きさのコンテンツを複数用意することを考えてみるのも良いかと思います。
よろしければご参考になさってください。

[2017/6/29 追記]この6年前の推測はある程度正しいようで、2017年現在、「マイクロラーニング」という言葉でこの傾向が説明され、推奨されています。