iTunesにビートルズがやって来た。ヤァ!ヤァ!ヤァ!

By | 2010年11月17日

皆さん、こんにちは。ヒゲです。

 

明日、いつもと同じ一日が、
忘れられない一日になります。

こんなメッセージと発表時間の世界各地の時計が、発表の前日からAppleのサイトやiTunesのストアに掲載されてました。ご覧になった方もいらっしゃることでしょう。

なんだなんだ? 何が来るんだ? とAppleウォッチャーは大注目、一部で盛り上がりを見せてました。そして日本時間の11月17日 午前0時、いよいよ発表。

1990年ごろよりマックを使い続け、今も自宅はマックのみ、電話はもちろんiPhoneという、それなりにヘヴィーユーザーである私も、夜中のウォーキングをすっぽかしてでも、この発表を見ました。

発表に先立ってこのメッセージがサイトに載ったときに、私は次の予想をしてました。

    1. ビートルズの楽曲配信/ついでにアップルレコードを買収
    2. Amazonに対抗してレーベル拡大
    3. 全部DRMフリー

で、結果は、半分正解! 

The Beatles. Now on iTunes.

でした。

詳しくはAppleのサイトをご覧ください。要するにAppleのオンライン音楽販売サイトiTunes Storeにてビートルズの楽曲が販売されましたよ、という内容です。

 

なぜ、高々(といってはなんですが)1つのバンドをiTunesで扱うことが、サイト全体をジャックするぐらいの価値があるのか・・・ 
本当に「明日、いつもと同じ一日が、忘れられない一日になります。 」なのか?

これにはいくつかの理由があるように思います。

 

まず一点目、これは私情が入る部分もあるでしょうが、Apple (Computer)の創業者であり現CEOであるSteve Jobsがビートルズが大好きで尊敬するバンドだということ。

そして、Apple (Computer)という社名も、ジョブスともう一人の創業者のウォズニアックも明言はしていなかったと思いますが、ビートルズが設立したレーベルApple Records(会社名はApple Corp=アップル・コアと読みます)の影響も受けたことは、ほぼ間違いなさそうです。

自分たちの社名と同じ名前のレーベルの、それも自分の大好きなバンドの楽曲が扱えるのだから、これは嬉しいという思いがあるのでしょう。

ちなみに、Apple (Computer)とApple Recordsは”Apple”という商標について相当すったもんだがあったようで、なんでも”Apple (Computer)はコンピュータ関連しかやらない”と言って歩み寄ったものの、実際にはiTunes Music Storeなどを立ち上げて音楽業界に進出しちゃったものだから、相当険悪になったようです。この蟠りを乗り越えての今回の発表なので、感激もひとしおだと思います。

 

二点目、商業的にビートルズはドル箱だ、ということ。

ギネスブックにも最も成功したグループアーティストということでビートルズが掲載されてます。アルバムの売り上げ枚数は10億枚を突破しているらしいです。(日本ではともかく、アメリカではエルビス・プレスリーも相当売れてますけどね)

しかも、これは過去の栄光ではありません。ビートルズのリマスター版が出ると、ヒットチャートに長く留まり、売れまくります。
たとえば、去年はリマスターものをBOXで出しましたが、Beatles In Monoは39,800円、もうひとつの全アルバムが入ったBOXであるBeatlesは35,800円です。この高額商品が飛ぶように売れたわけです。
昨晩、アメリカに住む友人に教えてもらったのですが、ビートルズのこれらBOX、アメリカでは尋常ならざるプロモーションをしていて売れまくったんだそうですよ。

iTunesにビートルズが載ることにより、これまでアルバムを買うまでもないと思っていた若い世代の人が楽曲単位で買えるため手を出しやすくなったり、かつてビートルズをレコードで聴いていた世代が、懐かしくて購入するということはありえそうです。

 

そして三点目、これが今回のメインテーマなのですが、音楽の世界は完全にCDからネット配信へシフした象徴的な出来事だ、ということ。

ビートルズは偉大なバンドです。そして商業的にもとても成功したバンドです。だからこそ既得利益を守るためにも新しいものにはすぐには飛びつかず、常に慎重な立場をとっているように見えます。

ビートルズのアルバムがレコードからCDへと替わるのは結構遅くて1987年のことです。1987年というと、マイケル・ジャクソンが”BAD”をリリースした年です。このときになってようやくビートルズはCD化されたのです。CDのデビューが1982年ですから遅れること5年ということになります。

アップルの音楽ネット配信サービス、iTunes Music Storeのリリースが2003年ですので、今回は7年間様子見したということになります。

今や国内外ほとんどのアルバムがiTunesなどのネット配信をされてます。若い世代にとって音楽を入手するということはCDやましてやレコードで買う、ということではなくネットからダウンロードするのが当たり前になっています。

かつては発信基地でもあったレコードショップ、HMV渋谷が今年の夏に閉店したというのもCDからネット配信への時代の流れを感じましたが、今回のビートルズのiTunes配信は「とうとう完全に音楽はネット配信される時代にきた」という最後通告のように見えるのです。その象徴的な出来事、これが「明日、いつもと同じ一日が、忘れられない一日になります。 」という理由だと解釈してます。

 

さて、前置きがとっても長くなりましたが、我々のeラーニング業界。

その中でもICTや学校教育の領域において、今年は『電子書籍」や『デジタル教科書」が表舞台に立って注目を集めた一年でした。
元はAmazonのKindleに端を発したとはいえ、この強烈な種を蒔いたものが同じくAppleのiPadだというのもなんとも因果を感じますが、世界は書籍の電子化に向かいつつあります。

従来は手書きで写し取るしかなかった書籍が、グーテンベルグの活版印刷の誕生で簡単に大量生産できるようになり、知があまねく広まっていったルネッサンス期。
(このあたりはマクルーハンのもはや古典『グーテンベルグの銀河系』を参照ください)

音楽は本日2010年11月17日をもって、ほぼ完全にシフトしたといえます。

そして、書籍の世界でも、Kindleに始まり、iPadが火をつけた今日、メディアの大きな転換期を迎えています。電子化です。

 

我々の手がけているeラーニングもこの電子化の最たるものです。従来は紙や教室で行っていた知の伝達を、電子化してあまねく広めていこう、効率を向上させよう、機会がなかった人に広めていこう、という活動です。

今まではどちらかというと「色物」として扱われてきた感のある電子書籍やeラーニングも、やがて、むしろ電子化された世界がデフォルトだ、という時代になるかもしれません。

今、チャレンジしているStudyPadもその一環です。いわゆる文科省の指定教科書が電子化されるのは、まだかかるでしょう。ビートルズがiTunesにやってくるまで7年かかりました。指定教科書が電子化されるのも、それと同じぐらいの期間はかかるかもしれません。教科書はビートルズと同じく最後の大物になることでしょう。

しかし、我々はチャレンジします。先陣を切って、このメディアのシフトを推し進めていこうと思ってます。先陣がいなければ世の中は変わりませんし、なによりそこで実現される世界はなかなかすばらしい世界だと信じているからです。

 

ヤァ!ヤァ!ヤァ!とビートルズの4人がやってくる前に、先陣を切って教育でもシフトを進めていきましょう。是非賛同される方、共にやってやろうじゃないか、という方はお声がけください。

 

ちなみに、私、ビートルズは結構好きで、アルバムはすべてCDで持ってます。というわけで今回、iTunesでビートルズが取り扱い開始になったことは、個人的にはすごく嬉しいし、なんだかワクワクするものの、双方のアップルにとっては一円の金にもならない客になりそうです。

昨晩は深夜一人でギターを取り出してHey JudeとLet it beとYesterdayを弾いてました。そういう記念日でした。