オンラインCBT・・・在宅・リモートでの試験実施

By | 2020年6月9日

先月の話になりますが、前回のblogで紹介した通り、5月20日〜22日の三日間、デジタル・ナレッジ・オンラインカンファレンス『在宅学習/テレワーク時代に進める新しい学び』を開催しました。

なにぶん初めての取り組みで手探りの中スタートしましたが、大勢の方にお越しいただきありがとうございました。私も3日間ともに冒頭の挨拶に立たせていただきました。

得たものも大きかったのですが、ただ反省点が多かったのも事実で、まだまだリアルの展示会のレベルに至っていないなと感じました。特に大きかったのはその場でしか得られない体験をしていただいたり、せっかく時間を割いて参加いただいた皆様が参加している感覚をあまり感じられなかった点で、オンデマンドで開催するのと決定的な違いを演出できなかったことは猛省しております。

次週の別のオンラインセミナーで軌道修正し、やや改善できたようにも思いますが、この課題を含めたオンライン・カンファレンスの運営ノウハウを身に付け、今後に活かしたいと思います。

オンライン・カンファレンスとやや関連して・・・ 弊社の上期末が5月末で、この6月から下期に突入したのですが、毎回、上期と下期のスタートの第一週の土曜日に全社スタッフが集まって、全社・部門・個人の目標を共有する「目標発表会」を開催してます。この下期は先週土曜日に開催されました。通常であれば会場に集まって行うのですが、近年は参加メンバーが150名を越え、会場選びも大変だったりするので、さて運用どうしようかというのが課題になっていました。ところが、このコロナ禍の中ですので会場開催は無理ということになり、初めてZoomを利用したオンライン目標発表会となりました。コロナのせいで課題が解決されてしまったという・・・

当日は、ほとんどのスタッフが自宅から参加し、発表者は自身のマシンから画面共有して発表しました。会場のプロジェクタで見るより見やすく聞き取りやすく、情報伝達の手段としては優れていました。一方で期待する一体感やラフな情報交換は、一部チャットでガヤを入れることで対応はしましたが、それでもやはり実現しづらく、まあ痛し痒しだよねえという感じです。ただ、現在、この手のイベントを行おうとするとオンライン一択になるので、先のカンファレンス同様、ノウハウを身につける必要があるのでしょう。

 

さて、オンライン・カンファレンスの話はそのくらいにしておいて、今回の本題に入りましょう。

 

今回のコロナ禍の「学びを止めない」ための教育ICTの仕組みには、大きく以下の3つのカテゴリの製品・サービスが活用されているように思います。

  1. オンデマンドの教材コンテンツや動画教材を提供するサービス
  2. ライブ授業を配信するシステム
  3. 学校・クラスの情報伝達、課題提出管理のための授業支援ツール

1つ目の動画教材が最も多く注目され導入が進んでいると思います。学校や塾に物理的に通うのが難しい昨今、先生の授業を代替する手段として講義を録画した動画を配信するのはとても有効です。学校や塾の担当の先生が収録した映像を配信するケースは稀だと思いますが、教材会社さんが制作した映像教材を在宅で学習するということを導入なさっている学校さん、塾さんは結構あります。元々、中学・高校の学習塾ではオンデマンド映像教材はもはや主流の学習メディア・メソッドになりつつありましたが、受講者側のニーズとも合致して、今回のコロナ禍がさらに後押ししたようにも感じます。

2つ目は、テレビ会議システム。今イケてるサービスを固有名詞で言うと”Zoom”です。CiscoさんのWebExやMicrosoftさんのSkypeやTeams、AppleさんのFaceTime、先日リリースされたGoogleさんのMeetなど、世の中には様々はWeb会議のシステムがありますが、Zoomは、いろいろな問題が指摘されてはいるものの、デファクトスタンダードになりつつありますね。「Yahoo!でググる」のような誤用を「WebExでZoom会議する」のように一般用語化し日常会話の中に取り込まれるのも時間の問題かもしれないと思ったりもしております。授業をリアルタイムに配信し、双方向のやり取りを先生=受講者で行ったり、あるいは初等教育では「オンライン朝の会」という始めやすい形で導入されているケースもあるようです。このオンライン配信もコロナ禍が火をつけたサービス領域でしょう。GAFAが真剣に取り組むのも分かります。

そして3つ目は、あまり取り上げられる機会は少ないのですが、実際に授業運営を考えると重要なシステムです。学校からのお知らせを生徒や保護者にどうやって漏れなく伝えるか? 授業の課題をどうやって渡すか? 提出をどう管理するか? 返却をどう行うか? そう言う情報のやり取りのハブになるようなシステムです。これらをメールと管理台帳だけで運用すると気が遠くなりますが、システムを導入するとスムーズに運用できます。MicrosoftさんのTeamsや、GoogleさんのG Suite for Educationや、最近Web版もリリースされたLoiLoさんのロイロノートなどがよく使われているようです。他の2つに比べて地味な印象はありますが、これも授業運営には欠かせない機能でしょう。

 

これら3つのシステムやサービスがコロナ禍の中で、必要性がかつてないほど高まり、学校や教育機関がこぞって導入し、不慣れな中、様々な壁を乗り越え、現在運用を行っている、もしくは導入準備を行っている状態だと思います。この限られた期間・限られたリソース・限られた情報の中、「学びを止めない」ための活動を行っていらっしゃる教育機関・先生方に敬意を表します。

 

さて、このコロナ禍の中で必要な教育システムはこの3つで十分でしょうか? というわけで、いよいよ本題なのですが、もう一つあるんじゃないですか? と言う話です。

学習は、大きく、「インプット」と「アウトプット」に大別されます。

インプットは知識を吸収すること。リアルな教育現場で言うと、授業を受けたり教科書を読んだり参考資料を調べたり単語を覚えたり、そのような知識を習得するための学びの活動です。

もう一つのアウトプットは、これまでインプットで学んできたことをアウトプットすること、テストを受けたり、ミニテストで定着を確認したり、レポートを書いたり、そう言う活動です。そもそも多くの学習はインプットすることが目的ではなく、アウトプットできるようになって初めて意味をなすとも言えます。そう言うわけで、見落とされがちですが、アウトプットも結構大切です。

このコロナ禍の影響で教育提供の対応としてインプットが重視されてきましたが、もう一方のアウトプットはいかがでしょう? ミニテストやレポートなどはLMSを活用したり、三つ目のシステムとして紹介したような授業支援ツールを使って行っていると思います。では、模試試験や資格試験、学校の期末試験、企業の昇進試験はどうしましょう? 試験会場に集まって紙の答案用紙に解答するというのは実現困難になっているのではないでしょうか。

これら試験は、いわゆる「本番」とも呼ばれる、学習者の学びのマイルストン、あるいは学習のゴールであることもあり、とても高い位置付けにあります。その出来/不出来、成績や合否がその後の生活を大きく変えることもある大事なものです。そう言うわけで完全な状態で、間違いなく運用することが求められます。

これら試験、通常の試験との違いのポイントはいくつかあります。通常の試験会場で行われる試験を思い返していただくとお分かりかと思いますが、試験会場では下記のような運用を行っていると思います。

  • 受験者が同じ時間に同じ問題で実施
  • 制限時間内に解答、制限時間超過したら答案を提出
  • 他の人が受験する「なりすまし」の防止
  • カンニングの防止

このコロナ禍の中、受験者を一堂に会して試験を行うのはもはや困難です。かといって、通常のLMSでは、上記の運用を行うことは難しいでしょう。これら運用をオンラインで実施するためのシステムが、オンラインCBTことComputer Based Testingです。
(ちなみに、古くからeラーニングをおやりになっている方にはCBT=Computer Based Trainingという言葉をご存じな方も多いと思いますが、こちらは今のeラーニングの先祖のようなもので、今回のCBTとは別の言葉です)

 

一般的にオンラインCBTに求められる機能としては、通常の試験システムと同様に使い勝手や集計処理のしやすさなどもありますが、オンラインCBT固有の要件としては下記のような項目が挙げられます。

  • 高負荷/大規模対応・・・ 同時刻に受験者が一斉に受験をします。我々が経験したものでも数千〜万のオーダーの受験者を処理する必要がありました。試験直前まではシステムはガラガラなのに、試験時間になるとピークに達すると言う、かなり異質なサーバリソースの使われ方をします。システムはこの高負荷に耐えることが必要で、「いつでもどこでも」学習できる通常のeラーニングとは異なるシステム/サーバの設計が必要ですし、どの程度の人数まで処理できるかを事前に把握しておくことも不可欠です。
  • 高可用性 ・・・ 試験時間は一律、その時間に実施する必要があります。その時間にシステムが停止したり受講を妨げるような障害が発生してはなりません。これはサーバ側だけではなく受験者側の環境にも配慮が必要で、例えば受験者ネットワーク障害などで受講が中断される事態も考えられる場合は、予め問題データを受験者の環境にダウンロードしておき、スタンドアロンで試験が行えるなどの環境を整備するのも有効です。また、万が一の障害が発生した際に、どのような運用を行うかのバックアッププランを持っておくことも大事です。私たちはオンラインCBTをお客様に提供して本番に臨む際に「負けられない戦い」と表現したりしてますが、そう、間違いないように、着実な試験環境を提供しなければならないのです。
  • 試験時間 ・・・ あらかじめ定めた試験開始時刻になると試験が開始され、試験終了時間になると解答を凍結して提出する機能が必要です。細かい話ですが、コンピュータの時間には受験者が用いるパソコン環境の示す時間と、処理するサーバの示す時間の2種類があります。受験者ごとに時間のズレがあってはなりませんし、不正行為をして試験時間を伸ばすことができるようで困るので、この時間にはサーバ側の時計による時間を用います。
  • セキュリティ ・・・ もちろん通常のセキュリティ対策として受講者情報や成績情報の保護を行うのは当然として、ここで言うセキュリティは試験問題の漏洩の対策です。サイトから不用意に閲覧できる状態であってはなりませんし、例えば上記で触れたあらかじめダウンロードしておく形式の場合、このダウンロードデータが開けてしまったら事前に問題が漏洩してしまいます。このための対策を講じておく必要があります。
  • 本人確認 ・・・ 会場での試験ですと、あらかじめ受験者の写真が貼られた受験票や学生証を机に置いて、試験官が確認することで本人確認をすることができます。オンラインでのなりすましの対策として、通常のID/パスワード認証や、より厳格に本人確認を行う2段階認証だけでは解決しません。例えばAさんが受験する際に、まずAさんが自分のパソコンでログインし、ログインした後でBさんに席を譲って受験してもらうことが可能だからです。実際に受験する人が受験しているかの担保はこれら認証では行えません。弊社ではこれまで通信制大学での定期試験でも採用いただいているAI顔認証による本人確認を取り入れることで受験者本人が受験しているかを確認できるだけでなく、試験時間中も定期的に写真を撮影し、カンニングなどの不正行為やなりすましが行われていないかを確認することができます。

 

弊社ではこれまで、多くのお客様にこのオンラインCBTシステムを提供してきました。今回、これまでのノウハウを集約し、オンラインCBTソリューションとしてまとめ、提供を開始しました。詳細はこちらのリリースをご確認ください。

なお、弊社が提供するのは「オンラインCBT」です。受験者が会場に出向いて会場のPC環境で受験するCBTの仕組みも世の中にはありますが、今回の弊社からのご案内は会場に行かなくても自宅や職場などから受験できるオンラインCBTのご案内になります。

当面の間は、「学びを止めない」施策としてインプット学習や日常的なアウトプット学習にフォーカスされるでしょうが、そのうちガッツリと資格試験・学校の定期試験・各種模擬試験・企業内の昇進試験などの「本番の試験」をWITHコロナの中、実施するニーズが出てくるかと思います。その際には、オンラインCBTを活用いただければと思います。

どうぞお気軽にお問い合わせください。

 

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