お手持ちのZoomとKnowledgeDeliverを繋げよう。ライブ単元機能オプション開発こぼれ話

By | 2021年3月19日
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今日は2021年3月18日、先日東京でも昨年に引き続き史上最速タイ記録でソメイヨシノが開花宣言をし、春分の日を前に春めいています。先日の夜、緊急事態宣言で家に篭りがちの長女を誘って皇居一周を散歩しましたが、いくつか早咲きの桜は開花しており、なかなか見応えありました。皇居の桜

来週にも首都圏の緊急事態宣言は解除される見込みですが、解除されたからといって元通りに戻るわけでもなく、引き続き新型コロナウィルスと付き合って行く必要がありそうです。

この新型コロナウィルスの影響を受けて、もう1年以上が経過します。あらゆるものが変化する中、我々eラーニングベンダー(のひとり)が教育研修に関する変化をどう感じているかを、ライブ授業という切り口から整理してみます。

時期によって程度の差こそありましたが、新型コロナウィルスで学校も会社も在宅を余儀なくされる中、学びを止めないための仕組みとしてWeb会議システムの活用は大きかったでしょう。Zoom、WebEx、Teamsの3つの存在感が大きかったと思いますが、これらWeb会議システムはこのコロナ禍で非常に多用されました。中でもとりわけZoomの大躍進は目覚ましいものがあります。あらゆる会議がZoomになり、顧客との商談もZoomになった方も多いでしょう。こういった仕事のやりとりに使用するだけでなくプライベートでも使用するケースも増え、Zoom飲み会なる新語まで登場しましたし、今やテレビ番組でも在宅ゲストとのやりとりにZoomを使うことも珍しくありません。2019年末は一部の人しか知らなかったZoomがこの1年あまりでここまで市民権を獲得したのはすごい変化でした。
(他の配信ツールを用いているにも関わらず”Zoom飲み会”という表現を見て、キャズムを超えたな、と思ったりしました)

そして、これらWeb会議システムを学習に使おうというアプローチが自然発生的に生じてきました。大学の講義、小中高の授業の一部、社内研修、外部研修、学習塾のサービスなど、従来の集合研修が実施できなくなった教育サービスのうち、授業を一斉に受講者に届けるような形態にはWeb会議システムがピタリとはまりました。例えば大学では先生が自宅もしくはひとけのない教室からカメラに向かって講義をし、そうして配信された講義を学生が同時刻にライブで聴講したり、時折先生が学生を指名し話してもらったり、グループに分かれてディスカッションしたりと、なんとか対面と同じクオリティをオンラインで実現しようと先生方はご苦労されていらっしゃいます。

先生方の中にはより良い授業を届けようと、マイクやカメラに凝ったり、ブルーバックを背景に貼って綺麗に人物だけを切り出して背景画像に嵌め込んだりする工夫をなさる方も登場しました。そんな中注目されたハードウェアがBlackmagic Design社のAtem miniシリーズでした。パソコン画面やカメラの映像など複数の映像ソースを切り替えたり合成したり画面効果を加えたりして手軽に配信できるとあって、凝った配信をなさる方がこぞって購入し、一時品切れになるほどの人気ぶりでした。Blackmagic Designはオーストラリアの映像機材メーカーで、常識に縛られない発想でハイエンドの映像機器をリリースしており、セミプロ・プロ向けとして近年成長著しい会社です。弊社のスタジオでもBlackmagicの機材はいくつか導入されております。

そういうわけで講義の映像や音声のクオリティは格段に上がり、先生方のノウハウも蓄積・共有され、遠隔ライブ授業だけでなく、その後一部通学が可能となったことで発生した遠隔ライブと教室受講の双方に授業を届ける「ハイフレックス」の授業形態でもスムーズな授業運営が行えるようになりました。なおこの傾向は大学だけに限らず、企業研修でも同じような傾向が伺えます。

 

eラーニングで提供する教材として、大きく2つに分けられます。一つがオンデマンド型と呼ばれるもので、動画やテキストをあらかじめ準備しておき、これをいつでも引き出して学習できるようにしておくというものです。これがeラーニングの主流で、多くの場合、eラーニングといえばこのタイプです。自分に合った適切な教材で好きな時に学習できるメリットがあります。

もう一つがライブ型と呼ばれるもので、上に紹介したZoomのようなWeb会議システムなどのライブ配信システムを用いて授業を行うものです。オンデマンドと違って、定められた時間に決まった講義を受講するスタイルですが、受講者も授業に参加して共に授業を組み上げていくといった授業の参加意識が生まれますし、その場でしか味わえない特別感、そして参加者同士や先生との一体感が醸成されます。これはオンデマンドにはない特長です。

弊社は2004年に日本初の完全インターネット通信制大学、八洲学園大学さんの開学の際にシステムを提供させていただきましたが、この大学さんの授業が今でいうハイフレックス環境でした。横浜にある校舎で先生が9:00-10:30の1限目、10:40-12:10の2限目・・・と授業を実施するのですが、学生さんは横浜にある校舎で受講しても良いし、在宅で受講しても良いという仕組みでした。多くの方は在宅でライブシステム越しに学習するのですが、先生とのコミュニケーションという観点では一般の大学よりむしろ濃密なコミュニケーションをとりつつ授業を展開していました。現在は他のシステムに引き継がれていますが、2004年開学当時からつい数年前まで、弊社が完全に0から開発したライブシステム(LiveNow!という名称でした)を採用いただいておりました。音声とコマ送りのカメラ映像、そしてPowerPointや書画カメラで撮影した資料画像の上に液晶タブレットで書き込んだ情報をライブで配信するといったシステムでした。今から17年前の話ですが、当時としてはPCのスペック的にもネットワークの帯域的にもそのぐらいが精一杯だったのです。ただ当時としては遅延が少なくほぼリアルタイムに数百名むけに配信できるというのは結構画期的だったように思います。ライブならではの一体感、授業に参加する楽しみを当時から味わっていました。何より、我々の作り上げたライブシステムで、これまでは場所や時間の制約で学ぶことのできなかった方々に学びを届けられたことは大きな喜びでした。

ただ、ライブシステムの運用はまあ実に大変でした。オンデマンドであればシステムが停止しても後で見てもらうこともできますが、ライブはわざわざその授業を受けるために時間を割いているわけで、その時間見えないと大きな機会ロスになるのです。そのため、ライブ授業は「負けられない戦い」と社内では称してましたが、9時から10時半まで授業があるなとなると、その1時間半は何がなんでも止めてはならないのです。その負けられない戦いのために、監視を強化したり、システムを二重化したり、土日を含めた緊急ホットラインでメンテナンスを行うなど・・・ まあいろいろなことを経験しました。

さらについこの前までは、ライブシステムは割とお金がかかるというのがありました。システム利用料として1時間○○○円といったチャージをするケースが多く、その分を価格転嫁する必要があり、どうしてもコスト高になります。

そこで、通常の授業はオンデマンドで配信し、最初のオリエンテーションや途中のキーとなる講義のみをライブで行うといった緩急つけて授業を構成するというような設計を提案するようになりました。このスタイルは今でもスタンダードなやり方です。全てライブで授業を行うのではなく、オンデマンドとライブを組み合わせて授業構成する。これは当初はコストから編み出されたようなところもありますが、振り返って考えると、いわゆる反転授業を全てオンラインで行うようなもので、いつでも好きな時に勉強して日々を過ごし、イベントであるライブ授業でこれまでの学習で学んだことを生かした発展的な学習をするといった運用は、学習面でも自然な流れかもしれません。全部ライブ授業だと先生も受講者も疲れちゃいますしね・・・

翻って2021年の現在、ZoomをはじめとするWeb会議システムを活用することで、無料もしくは安価にライブ配信を提供できるようになりました。受講者側としても学習以外で日常的に多用するZoomのインターフェイスを用いることは環境設定の手間が省け、慣れ親しんだインターフェイスで学習することは意識の上でも障壁がひとつクリアされるように思います。またインフラとしてもこれだけたくさん使ってもびくともしないZoomのインフラに支えられ、かつて弊社が15年以上前のライブ黎明期に味わったような「負けられない戦い」のライブ授業を支えるために必死に考えたり準備をしたり当日を迎えたりするといった労力とも無縁となります。

 

弊社のLMSであるKnowledgeDeliverにZoomを追加したのはコロナ以前のことでした。弊社の西日本支社のお客様である創造学園様に提供したのがはじまりでした。こちらは西日本支社による企画・開発で進められたプロジェクトで、担当エンジニア・ディレクタの頑張りで実現しました。おかげさまでお客様からも高いご評価をいただきました。昨今西日本支社は2008年に立ち上げて以来、徐々に新機軸のサービスを立ち上げる力をつけてきており、非常に頼もしいです。

この成功をきっかけに西日本エリアでZoomを展開するだけでなく、本社エリアでもZoomを取り扱うべく、本社でもZoom社ともコンタクト取りながら展開準備を進めました。そうして昨年6月にZoomとの連携ソリューションをリリースしました。「連携ソリューション」というのは、各お客様のニーズに応じて組み込んで提供するということを意味しており、弊社のLMSを購入いただいた方に須く提供するという意味ではありません。主に大規模顧客やニーズの高いお客様にシステムを組み込んでZoomとの連携を提供しておりました。

ところがコロナ禍でZoomを利用なさっていらっしゃるお客様が多く、これを一元管理できないかとの相談もいただくようになり、いっそLMSのオプションとして提供してはどうだろうと思い立ち、KnowledgeDeliver6.14以降からオプションとしてZoomの取り扱いを開始しました。

KnowledgeDeliverのZoom連携

KnowledgeDeliverのZoom連携

この機能は「ライブ単元機能」というKnowledgeDeliverのオプション機能で、お申し込みいただければどなたでもご利用可能です。既にお使いのZoomの情報を入力いただければ、そのZoomアカウントと連携して機能します。

ライブ授業の予定をKnowledgeDeliver側から設定し、KnowledgeDeliverのインターフェースで受講者に予定を告知したり、受講者がライブ授業を受講する際にはZoomから入るのではなくKnowledgeDeliverから入って受講いただけます。ライブ配信としてZoomが起動するものの、それ以外の制御はKnowledgeDeliverからシームレスに行うことができ、受講者にもシンプルに案内できます。シームレスな環境・・・受講者は別のシステムがそれぞれ別個に動いているという意識はなく、1つの統一されたサービスとして認識されることでしょう。

Zoomへの入室の履歴もKnowledgeDeliverに記録されているので、他のオンデマンド教材の履歴と合わせて一元管理することができます。

さらにZoomで配信した講義を記録しておくことでオンデマンドコンテンツとしても活用でき、復習用もしくは参加できなかった方に後日受講いただくこともできるでしょう。

 

このコロナ禍でZoomをはじめとしたさまざまな便利なツールが活用されてますが、教育として利用する際に不十分なのが学習履歴の管理です。LMSとツールの履歴がバラバラに記録されていると、トータルの学習成果を確認するのがとても大変です。あらゆる学習活動を一元管理することは受講者自身が自身の学習を把握する点だけでなく、指導者がそれぞれの受講者に適切な指導を行う上でも不可欠です。

さらに、さまざまな方が受講するのに障壁なくスムーズに学習を進めるには一つのシステムからシームレスに利用できなければなりません。

この2つのニーズを実現したのがKnowledgeDeliver「ライブ単元機能」なのです。KnowledgeDeliverのオプション機能ですので、KD6.14以降のバージョンをご利用の方はぜひご活用いただき、すでにお使いのZoomと繋げてみてください。以前のバージョンをお使いの方はぜひこの機会にバージョンアップをご検討ください。

 

なお、KnowledgeDeliverに他社のサービスを組み合わせることは、今後も色々と取り組んでいこうと思っております。学習に利用すると便利なツールは日進月歩でさまざまリリースされております。それらをシームレスに連携することで、今回Zoomと連携したように、シームレスに繋がり、学びの世界が拡張できれば・・・と思っております。

 

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About 吉田 自由児

ヒゲこと、株式会社デジタル・ナレッジ 代表取締役COOの吉田がお届けします。 弊社関連の情報だけでなく、eラーニング周辺の話題についても触れます。